登記簿謄本の見方|表題部・甲区・乙区に何が書いてあるか
相続した実家を売ろうと思って法務局で謄本を取ってみたものの、何が書いてあるのか分からない。そういうお話をよくうかがいます。
当社では、売却のご相談をお受けすると、まずその土地と建物の登記事項証明書(謄本)を取ります。見るのは3か所です。表題部で地番と地目を、甲区で今の登記名義人が誰かを、乙区で抵当権などが付いていないかを確かめます。
この記事では、その3か所に何が書かれているのか、謄本はどこでいくらで取れるのか、古い謄本にある「規定により移記」という一文が何を指すのかを、法務局と法務省の案内などにもとづいて整理しました。
「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は呼び方が違うだけです
窓口や書類によって、同じものが「謄本」と呼ばれたり「登記事項証明書」と呼ばれたりします。法務局のよくあるご質問(情報番号1103)には、次のように説明されています。
| 証明書 | 登記事項証明書は、コンピュータ・システムで登記記録の全部または一部を証明したものです |
| 謄本 | 登記簿謄本は、コンピュータで取り扱うことができない登記記録の全部を複写して証明したものです。一部を複写して証明したものが登記簿抄本です |
作成の方法が違うだけで、登記されている事項を世の中に示すという効力は同じものだと書かれています。ですので、金融機関や役所から「謄本を出してください」と言われたときに用意するのは、登記事項証明書です。
証明書にはいくつか種類があり、法務局のオンライン請求の案内では、オンラインで請求できるものとして全部事項証明書・現在事項証明書・閉鎖事項証明書が挙げられています。売買の前にこれまでの経緯まで見たいときに取るのが、全部事項証明書です。
謄本は3つのブロックに分かれています
登記記録は、1筆の土地または1個の建物ごとに作られます。表題部と権利部に分かれていて、権利部はさらに甲区と乙区に分かれます。
| 表題部 | その不動産がどこにあって、どういうものか。土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積など |
| 甲区 | 所有権に関する登記。所有権の移転のほか、仮登記、差押え、仮処分など |
| 乙区 | 所有権以外の権利に関する登記。抵当権の設定、地上権の設定、地役権の設定など |

見落としやすいのが、記録が「1筆の土地または1個の建物ごと」に作られるという点です。一戸建てなら、土地の分と建物の分で謄本は2通になります。敷地が2筆に分かれていれば3通です。ご自宅の敷地が何筆あるかは、固定資産税の納税通知書に付いてくる課税明細で見当がつきます。
表題部には、どこにあるどんな不動産かが書かれています
表題部にする登記を、法務局は「表示に関する登記」と呼んでいます。当社がここで最初に見るのは、地番と地目です。
地番は、登記のうえで土地に付けられた番号です。ふだん使っている住所(住居表示)とは別のもので、法務局のよくあるご質問(情報番号1101)にも、地番・家屋番号は住居表示とは異なるため事前に確かめる必要があると書かれています。謄本を請求するときは、住所ではなく地番で特定します。13桁の不動産番号が分かっていれば、所在や地番の記載を省いて請求できます。
地目は、その土地が今どう使われているかを表す区分です。宅地、田、畑、山林などがあります。長く空いたままの家では、敷地の一部が宅地になっていないことがありますので、地番と一緒に確かめます。
地積は土地の面積です。ここに載っている数字は、測り直した結果と違っていることがあります。分筆の登記などの際に提出された地積測量図があれば、その土地の所在・地番・方位・形状・隣の土地の地番・面積の求め方・境界標が図面に表示されていますので、当社はそちらもあわせて取ります。図面がない土地の進め方は境界が分からない家・土地は売れる?測量する前にに書いています。
建物のほうでは、種類・構造・床面積と、いつ建ったかを見ます。種類は居宅か店舗かといった使い方、構造は木造か鉄骨かと屋根の形と階数、床面積は階ごとの広さです。建った日は、原因及びその日付の欄に「◯年◯月◯日新築」と入ります。あとから増築した部分の登記がされていないと、登記の床面積と今の建物の大きさが合いません。売買のときにどう扱うかは、未登記の建物がある家は売れる?「登記していない家」「増築未登記」の売り方と手続きにまとめています。
離れや車庫、物置があるときは、主である建物の附属建物として同じ登記記録に載ります。不動産登記法44条に、附属建物があるときは、その所在する市区町村と地番、種類、構造、床面積を登記事項とすると定められています。

マンションの一室のように、建物と敷地が切り離せない形で登記されているものは、表題部に敷地権が記録されます。
表題部のいちばん下には所有者の欄がありますが、甲区に所有権の登記がされると、この欄には下線が引かれます。今の名義人は甲区で確かめます。
甲区には、所有権の記録が並びます
甲区を見れば、その不動産が誰から誰へ渡ってきたかが分かります。当社がここで確かめるのは、現在の登記名義人が誰かです。

相続のご相談では、名義が亡くなった方のままになっていることがよくあります。この場合でも、相続人の方が売主として売買契約を結ぶことはできます。できないのは決済(所有権の移転登記)ですので、決済までに相続登記を済ませておく必要があります。手続きと費用は相続登記とは?義務化の期限・費用・手続きに書いています。
名義が複数の方に分かれていることもあります。ご兄弟の共有になっている実家をどう売るかは、兄弟で共有名義の実家、売るにはどうする?でご説明しています。
甲区には、所有権の移転のほかに、差押えや仮登記が記録されることもあります。当社はまず、そうした記録があるかどうかを見ます。
もう一つ、甲区に書かれている住所が今のお住まいと違っていることがあります。法務局の案内でも、担保権を抹消する手続に進む前に、現在の所有者の氏名・住所が登記の記録と一致しているかを確かめる形になっており、違っている場合は先に住所・氏名の変更の登記などが必要だとされています。この登記は令和8年4月から義務になりました。詳しくは不動産の住所変更登記・氏名変更登記が義務化をご覧ください。
乙区には、抵当権などの記録が並びます
乙区には、所有権以外の権利が記録されます。住宅ローンを借りるときに設定された抵当権が入るのがここです。
当社が乙区で見るのは、抵当権が付いているかどうかです。付いていれば、残債があるかどうかをお聞きします。売った代金で残りを返せるかどうかで、売り方も引渡しの時期も変わってくるためです。残債があるまま売るときの考え方は、住宅ローンが残っている家は売れる?残債と売却額の関係にまとめています。
抵当権のほかに、地上権や地役権が乙区に入っていることもあります。地役権は、他人の土地を通ったり、そこに水道の管を通したりするために設定される権利です。その権利が土地のどの範囲に及ぶかは、登記所に備えられている地役権図面で確かめられます。前の道が私道に面した家は売れる?通行・掘削承諾と売却の進め方で書いたような形になっている土地では、この欄も見ておきます。
完済しているのに、抵当権の記録が残っている家があります
古い物件では、住宅ローンを返し終わっているのに、乙区の抵当権の記録だけが残っていることがあります。当社でも実際にありました。
見分け方は下線です。抹消の登記がされると、乙区のその行に下線が引かれます。証明書のいちばん下にも、下線のあるものは抹消事項であることを示す、という断り書きが入っています。下線が引かれていなければ、その抵当権の記録はまだ残っています。

抵当権の記録を消すには、抹消の登記を申請します。法務局の案内(住宅ローン等を完済した方へ)によると、金融機関等から送られてくる書類を添えて、不動産の所有者が申請する形です。届く書類は次の4点です。
- 登記識別情報、または登記済証(抵当権設定契約書に「登記済」の押印がされたもの)
- 登記原因証明情報(解除証書や弁済証書といった書面)
- 金融機関等の会社法人等番号
- 委任状
登録免許税は不動産1個につき1,000円で、土地1筆と建物1棟なら合わせて2,000円です。法務局は、これらの書類を受け取ったら、なくしたり汚したりしないようにして、できるだけ早く申請するようすすめています。
気をつけていただきたい点が2つあります。1つは、登記されている所有者の住所・氏名が今と違う場合で、抹消より先に変更の登記などが必要になります。もう1つは、法務局では登記申請書の作成を代行できないことです。法務局のページにも、申請について相談したい場合は司法書士・弁護士に相談するようにと書かれています。
名義が亡くなった方のままになっている家では、抹消の登記に相続の手続きが絡んできます。この場合も司法書士にご相談ください。
抹消をいつ済ませるかは、売却の進み方に合わせてご案内いたします。まずはご相談ください。
謄本の取り方と手数料
請求のしかたは、登記所の窓口に出す、郵送する、オンラインで請求する、の3つです。電話での請求はできません。手数料は法務省が公表している登記手数料のとおりで、令和7年4月1日から次の額です。
| 窓口・郵送 | 1通600円。収入印紙で納めます(現金では納められません) |
| オンライン | 郵送で受け取ると1通520円、窓口で受け取ると1通490円。手数料は電子納付で、収入印紙は要りません |
| 要約書 | 登記事項要約書は1通500円。証明書とは別のもので、管轄の登記所の窓口にしか請求できません |
| ネット閲覧 | 登記情報提供サービスは全部事項1件330円。証明文や公印は付きませんので、証明書の代わりにはなりません |
1通の枚数が50枚を超えると、超える50枚までごとに100円が加算されます。所有者が何度も変わった土地や、抵当権の記録が積み重なっている土地では、枚数が増えることがあります。
オンラインは「かんたん登記・供託申請」というシステムから請求します。ウェブブラウザで入力するだけで、専用のソフトは要りません。ただし、オンラインで請求しても証明書がデータで届くわけではなく、受け取りは郵送か窓口です。受付の時間は、登記所の窓口が平日8時30分から17時15分まで、オンラインの請求は平日8時30分から21時までとなっています。
登記事項証明書は、全国の登記所で取れます。法務局は、全国の登記所の間で交付請求を相互にできる登記情報交換サービスがあり、最寄りの登記所で、その登記所の管轄外の証明書を請求して受け取れると案内しています。物件が遠くの市にあっても、取りに行く必要はありません。
登記記録が閉じられているものは、閉鎖事項証明書として請求します。コンピュータ化に伴って閉じられた紙の登記簿の謄本(閉鎖謄本)は取り方が違いますので、次の章でご説明します。
抵当権が複数の不動産にまとめて設定されているときは、請求書の「共同担保目録」の欄に記載すると、目録を付けた証明書が出ます。郵送のときは「共同担保目録希望」と書き添えます。共同担保目録について法務局のよくあるご質問(情報番号1301)は、2個以上の不動産に共同で1つの担保権が設定されている場合に、それぞれの登記記録に記録する代わりにこの目録に記録して分かりやすくしたもの、と説明しています。
公図や地積測量図といった図面は、証明書とは別に請求します。図面の種類と取り方は公図の見方|「地図」と「地図に準ずる図面」の違い、現地と合わない理由に、境界標が見当たらないときの進め方は境界が分からない家・土地は売れる?測量する前にに書いています。
「規定により移記」は、紙の登記簿から書き移したという記録です
古くからある土地や建物の謄本では、表題部や甲区・乙区の欄に「昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記」という一文と日付が入っていることがあります。

登記簿は、もとは紙の帳簿でした。各地の登記所が紙の登記簿をコンピュータに移したとき、紙から書き移した(移記した)登記に、この一文が入りました。一緒に書かれている日付が、その登記所で書き移した日です。
昭和63年法務省令第37号は、昭和63年8月25日に出された「不動産登記法施行細則等の一部を改正する省令」です(国立国会図書館の日本法令索引)。平成17年に今の不動産登記規則ができてからは、その附則第3条にもとづいて書き移しているため、そのあとで書き移した登記所の謄本では「平成17年法務省令第18号附則第3条第2項の規定により移記」となっています。
不動産登記規則の附則第3条では、紙の登記簿をコンピュータの登記簿に改めるときは、紙の登記を書き移して行い、今は効力のない登記は書き移さなくてよいとされています。ただし、土地の表題部の地番・地目・地積に関する登記は書き移します。書き移し終えた紙の登記簿は閉じられ、閉鎖登記簿になります。
書き移す前のことは、閉鎖登記簿で確かめます
そのため、今の謄本の甲区や乙区には、書き移したときに効力のあった登記から後のことしか載っていない場合があります。上記の図の「順位3番の登記を移記」は、紙の登記簿で3番目だった登記を書き移したという意味です。1番と2番の登記は、閉鎖登記簿のほうに残っています。前に誰が持っていたかや、すでに抹消された抵当権などは、閉鎖登記簿を見ると分かります。
この閉鎖登記簿の謄本が、いわゆる閉鎖謄本です。当社も、コンピュータ化される前の経緯を確かめたいときは閉鎖謄本を取ります。
閉鎖謄本の取り方
コンピュータ化に伴って閉じられた土地の登記簿について、神戸地方法務局のお知らせ(土地閉鎖登記簿の取扱いについて)は、窓口か郵送で請求し、オンライン請求・登記情報交換サービス・登記情報提供サービスは利用できないとしています。全国どこの登記所でも取れる登記事項証明書と違い、その土地を受け持つ登記所(管轄の登記所)に請求します。手数料は謄本1通600円です。明石支局と加古川支局も、このお知らせで閉鎖登記簿を取り扱う登記所に入っています。
当社がお手伝いできること
謄本をお持ちでしたら、ご相談のときにお見せください。お持ちでなければ当社で取ります。地番が分からなくても、場所が分かればこちらで調べます。
- 土地と建物の登記事項証明書を取り、表題部・甲区・乙区に何が書かれているかを一つずつご説明いたします
- 名義が亡くなった方のままの家も査定いたします。相続登記をどこで済ませるかもあわせてご案内いたします
- 抵当権の記録が残っている場合は、金融機関にどう問い合わせればよいかをご案内いたします
- 買取の金額と、仲介で売り出す場合の価格の両方をご提示いたします。違いは買取と仲介どっちが得?金額・期間・手間で比べる選び方で比べています
- 遠方にお住まいの方は、お電話と写真でご相談いただけます。現地は当社が見に行きます
ご相談の際、次のものがお手元にあると話が早いです。おそろいでなくても構いません。
- 固定資産税の納税通知書
- 建物と土地の登記事項証明書(謄本)、または権利証(登記識別情報)
- 住宅ローンを借りていた場合は、完済のときに金融機関から届いた書類
- 測量図、建物図面
権利証が見当たらないときの進め方は権利証が見つからない!家は売れる?に、決済の日に用意するものは不動産の決済当日、売主の持ち物は?基本の6点と書類が増える場合に書いています。まだ売ると決めていない、査定だけ、という段階のご相談でも構いません。
- 無料査定・売却のご相談フォーム(入力1分)
- お写真を送るだけのLINE相談もお受けしています
ご確認ください
この記事の記載は執筆時点のものです。手数料の額、受付の時間、請求のしかたは変わることがありますので、法務局・法務省のご案内をご確認ください。登記の申請をご自身で進める場合の書き方や添付書類は法務局に、手続きを依頼される場合は司法書士にご相談ください。記事中の画像はイメージです。
よくあるご質問
登記簿謄本と登記事項証明書は、何が違いますか?
作成の方法が違います。法務局の説明では、登記事項証明書はコンピュータ・システムで登記記録の全部または一部を証明したもの、登記簿謄本はコンピュータで取り扱うことができない登記記録の全部を複写して証明したものです。登記されている事項を示すという効力は同じものだと書かれています。窓口で出てくるのは登記事項証明書です。
一戸建てだと、謄本は何通必要ですか?
登記記録は1筆の土地または1個の建物ごとに作られますので、土地1筆に建物1棟なら2通です。敷地が2筆に分かれていれば3通になります。離れや車庫は、主である建物の附属建物として同じ登記記録に載りますので、その分は増えません。敷地が何筆あるかは、固定資産税の納税通知書に付いてくる課税明細で見当がつきます。
完済しているのに乙区に抵当権が残っています。売るときに困りますか?
抹消の登記を済ませてから引き渡すことになります。法務局の案内では、金融機関等から届く書類(登記識別情報または登記済証、解除証書などの登記原因証明情報、会社法人等番号、委任状)を添えて所有者が申請する形で、登録免許税は不動産1個につき1,000円です。書類が見当たらない場合は、借りていた金融機関にお問い合わせください。当社にご相談いただければ、売却までのどの時点で抹消の登記を済ませるかを含めてご説明いたします。
名義が亡くなった親のままですが、査定してもらえますか?
査定いたします。相続人の方が売主として売買契約を結ぶこともできます。ただし決済(所有権の移転登記)までには相続登記が要りますので、司法書士をご紹介いたします。
登記情報提供サービスで取ったものを、手続きの書類として使えますか?
証明書の提出を求められる手続きには使えません。登記情報提供サービスは、登記事項証明書と異なり証明文や公印等が付かず、閲覧と同等のサービスだと案内されています。行政機関へのオンライン申請では、登記事項証明書の代わりに照会番号を添える仕組みがありますが、使えるかどうかは手続きごとに違いますので、提出先にご確認ください。
物件が遠くの市にあります。その市の法務局まで行かないと取れませんか?
登記事項証明書は全国の登記所で取れますので、行く必要はありません。法務局の登記情報交換サービスで、最寄りの登記所から、その登記所の管轄外の証明書を請求して受け取れます。オンラインで請求して郵送してもらう方法もあります。取れないのは、コンピュータ化に伴って閉じられた登記簿の謄本です。これは管轄の登記所に窓口か郵送で請求します。請求には地番・家屋番号が要りますので、先に固定資産税の納税通知書などで確かめてください。
謄本に「昭和63年法務省令第37号附則第2条第2項の規定により移記」とあります。何のことですか?
登記所が紙の登記簿をコンピュータに移したときに、紙の登記簿から書き移した登記に入る一文です。一緒に書かれている日付が、書き移した日です。コンピュータに移すときは、今は効力のない登記は書き移さなくてよいとされていますので、それより前の持ち主や、すでに抹消された抵当権などは、閉じられた紙の登記簿(閉鎖登記簿)で確かめます。当社も、コンピュータ化される前の経緯を確かめたいときは閉鎖謄本を取ります。
「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。
