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地域別売却ガイド

稲美町で相続した空き家を売る|9割が市街化調整区域の町で確認すること

公開日:2026年9月19日 更新日:2026年10月10日

稲美町の実家を相続したものの、住む人がいないまま空き家になっている。市街化調整区域なので買う方が見つからないのではないか。そういうご相談をいただきます。

稲美町は、町の全域が東播都市計画区域に入っています。兵庫県の播磨東部地域都市計画区域マスタープランによると、令和5年3月時点で都市計画区域3,492ヘクタールのうち3,166ヘクタール、割合にして90.7パーセントが市街化調整区域です。町の人口3万600人のうち1万6,300人、53.3パーセントの方が市街化調整区域にお住まいです。

この記事では、稲美町の空き家を売るときに関わってくる制度と、売り出す前に当社で確認することを整理しました。

稲美町の家を売る前に、当社が確認すること

売り出す前に、当社で次のようなことを調べます。稲美町では、まずその家がどの区域にあって、どういう経緯で建ったのかを確かめます。

区域区分 市街化区域か、市街化調整区域か。稲美町は都市計画区域の90.7パーセントが市街化調整区域です
田園集落 市街化調整区域なら、田園集落まちづくり計画にもとづく特別指定区域に入っているか。稲美町では11の地区に指定があります
建築の経緯 都市計画法の許可を受けて建った家か、市街化調整区域になる前から建っていた家か。売るときに許可がいるかどうかが変わります
前面道路 建築基準法上の道路に接しているか。幅員と、後退がいるかどうか
境界 境界標が残っているか。法務局にどの図面が備え付けられているか
登記と地目 名義が亡くなった方のままになっていないか。増築した部分の登記がされているか。敷地の一部が宅地になっていないところがないか
建物の傷み 雨漏りの跡、屋根と外壁の傷み、床下の状態。空いている期間が長い家ほど、見る箇所が増えます

ここに挙げたのは当社が調べることであって、当てはまらないと買い取れない、という条件ではありません。許可の書類が見当たらない家も、増築した部分が未登記の家も、当社は買い取っています。

法務局で取る書類の見方は登記簿謄本の見方|表題部・甲区・乙区に何が書いてあるかと公図の見方|「地図」と「地図に準ずる図面」の違い、現地と合わない理由に、境界標が見当たらないときの進め方は境界が分からない家・土地は売れる?測量する前にに書いています。

稲美町の市街化調整区域には、住宅を建てられる区域が11あります

市街化調整区域では、原則として住宅を新しく建てられません。そこで兵庫県は、都市計画法施行条例にもとづいて、建てられる建物と建てられる方を決めたうえで制限を緩める「特別指定区域」という制度を設けています。住民が中心となったまちづくり協議会が土地利用計画を作り、町の申出を受けて県が指定する形です。

田んぼの中に家がかたまってできた集落(イメージ)

稲美町では、この計画を田園集落まちづくり計画と呼んでいます。町の土地利用計画のページには、向山・高薗・下野谷・野寺・中一色・幸竹・和田・西和田・金守・北山・百丁場の11地区について、指定と関係図書の縦覧の告示が並んでいます。

稲美町の田園集落まちづくり計画には、二つの住宅が入っています。一つは、その小学校区の範囲と隣接する字の市街化調整区域に10年以上お住まいだった方が建てる戸建ての住宅です。もう一つが、新たに町内へ住むことを希望する方の住宅です。たとえば北山地区の告示の案内には、天満小学校区の範囲と隣接する字に10年お住まいだった方の戸建て住宅や事業所に加えて、誰でも居住できる新規居住者住宅が建てられるようになる、と書かれています。

該当する区域は地区ごとに違います。北山地区は北山・加古・蛸草・下草谷・野寺・中村・中一色・国安・国岡、高薗地区は母里小学校区にあたる蛸草・野寺・野谷・下草谷・草谷・印南・加古・北山・国岡・国安・岡です。ご自分の実家がどの地区のどの区域に入るかは、区域図で確かめます。

稲美町は、この区域に家を建てる方への後押しもしています。田園集落まちづくり住宅新築促進事業補助金として、指定区域内に住宅を新築した方や、その区域内で新築された住宅を取得して住む方に、18万円分の稲美町共通商品券が交付されます。町税の滞納がないことなどが要件で、法人は対象外です。市街化調整区域での人口減少を食い止めることが目的だと、町のページに書かれています。

気をつけていただきたいのが、ここまでは新しく家を建てるときの話だという点です。すでに建っている家を買った方がそのまま住む場合に許可がいるかどうかは、その家が建ったときの経緯によって変わります。稲美町と兵庫県が判断しますので、当社が調べてご説明いたします。

空き家バンクは、取り扱う不動産会社を決めてから登録します

稲美町にも空き家バンクがあります。ほかの市と形が違うのは、登録の進み方です。

役場の窓口で空き家のことを相談している場面(イメージ)

町のページと稲美町空き家バンク制度事業実施要綱によると、所有者ご本人が登録申込書を都市計画課に出したあと、取り扱う不動産会社を決め、その会社が登録カードを町に提出します。登録できるのは、町内にある現在使っていない戸建ての住宅とその敷地で、建築基準法や都市計画法に違反していないものです。登録から2年が経つと抹消されますが、あらためて申し込むことができます。

町は情報を載せるところまでで、売買の媒介には関わりません。要綱にも、売買や賃貸の媒介をする行為には一切関与しない、と定められています。交渉と契約は、所有者と買われる方、そのあいだに入る不動産会社で進めます。

町のページには、これまでに登録された10件の物件が載っています。10件はすべて成約済みで、今のところ登録されている物件は0件です。

登録された10件の所在地は、国岡・和田・国北・六分一・岡・加古・幸竹に広がっています。建てられた年も昭和40年から平成23年までと幅があります。古い家に限った制度ではありません。

要綱には、空き家バンク以外による空き家等の取引を妨げるものではない、とも書かれています。不動産会社に売却を依頼しながら登録することもできます。

買われる方が使える改修の補助は、調整区域のほうが大きくなります

稲美町には空き家活用支援事業という補助があります。空き家を改修して住む方、または事業所として使う方が対象ですので、売主ではなく買われる方が使う制度です。令和8年度の受付は令和8年11月30日まで。補助額が予算に達した時点で終了します。

長く使われていない古い家の台所(イメージ)

稲美町らしいのは、市街化区域より市街化調整区域のほうが額が大きいことです。一般世帯の場合で比べると、次のようになります。

100万円〜 市街化区域60万円/市街化調整区域80万円
150万円〜 市街化区域90万円/市街化調整区域120万円
200万円〜 市街化区域110万円/市街化調整区域150万円
250万円〜 市街化区域140万円/市街化調整区域180万円
300万円〜 市街化区域150万円/市街化調整区域200万円

若年世帯(夫婦の合計年齢が80歳未満)、子育て世帯、UIJターン世帯はさらに上がり、市街化調整区域で対象工事費が300万円以上のときは225万円です。対象工事費が100万円未満(事業所として使う場合は150万円未満)の工事は対象になりません。

対象になる空き家の条件も決まっています。空いている期間が6か月以上、または空き家バンクに登録していること。同じ敷地にある母屋や離れも使われていないこと。築20年以上経っていること。台所・浴室・便所などの水回りの設備が10年以上更新されておらず、機能の回復が必要であること。この4つをすべて満たす必要があります。

手順にも決まりがあります。先に交付申請をして、交付決定を受けてから工事の契約と着工をします。決定の前に着工すると受け取れません。改修したあとは10年以上、申請した目的どおりに使うことになります。買われる方がこの補助を使えるかどうかは、稲美町の都市計画課にご確認ください。

3,000万円の特別控除の確認書は、都市計画課で交付されます

相続した家を売って一定の要件を満たすと、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。この特例を使うには「被相続人居住用家屋等確認書」という書類が要ります。稲美町のページでは、この確認書を都市計画課で交付すると案内されています。必要な書類は国土交通省のページを参照するようにと書かれており、町のページに一覧はありません。

適用期間は令和9年12月31日まで延長されています。譲渡した年の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行った場合も対象に加わりました(令和6年1月1日以降の譲渡が対象)。要件と控除額は空き家の3,000万円控除とは?更地にしたら使えないは誤解にまとめています。

確認書の窓口は市町によって違います。当社が扱っている市町では次のようになっています。

稲美町 都市計画課/必要書類は国土交通省のページを参照
小野市 まちづくり課 住まいづくり推進係/1〜2週間(小野市の記事)
加東市 市のサイトに案内なし(加東市の記事)
三木市 生活安全課 空き家対策係/郵送可(三木市の記事)
明石市 1週間程度(明石市の記事)
加古川市 住宅政策課(加古川市の記事)
播磨町 都市計画課(播磨町の記事)

相談の窓口は、内容によって課が分かれています

稲美町は、空き家の相談窓口を二つに分けています。近所の空き家について困っているという相談は経済環境部の生活環境課、ご自分の空き家をどう使うか、どう手放すかという相談は地域整備部の都市計画課です。

相続のことで法律の相談をしたい場合は、町が毎月第4木曜日の午後1時30分から、稲美町立コミュニティセンターで弁護士による無料法律相談を開いています。申し込みは相談日の前日8時30分から電話で、先着9人まで。1人20分です。

稲美町での当社の関わり

当社は稲美町全般でお預かりしています。役場のある国岡でも、野寺や加古でも、これまでにお預かりしてきました。市街化区域の住宅地も、市街化調整区域にある家も扱っています。

これまでにお預かりした中で、市街化調整区域であることが理由で行き詰まったことはありません。

とはいえ、家ごとに建った経緯は違います。許可を受けて建った家で、その書類が手元に残っていない場合でも、町と県で経緯をたどることができます。

売却までに済ませておく手続き

名義が亡くなった方のままでも、相続人の方が売主として売買契約を結ぶことはできます。相続人は相続が開始したときから被相続人の財産に属した一切の権利義務を受け継ぐと、民法896条に定められているためです。

できないのは決済(所有権の移転登記)です。亡くなった方の名義から買主へ直接移すことはできませんので、決済までに相続登記を済ませておく必要があります。相続登記は令和6年4月1日から義務になり、期限も決められました。手続きと費用は相続登記とは?義務化の期限・費用・手続きにまとめています。

当社がお手伝いできること

買取の金額と、仲介で売り出す場合の価格の両方をご提示いたします。買取と仲介の違いは買取と仲介どっちが得?金額・期間・手間で比べる選び方で比べています。

  • 市街化区域か市街化調整区域か、田園集落まちづくり計画のどの区域に入るかを調べ、建て替えや売却に許可がいるかをご説明いたします
  • 建ったときの経緯がたどれない家も、当社が調べます
  • 境界標が残っているか、図面と現地にずれがないかを確認いたします
  • 荷物が片付いていなくても大丈夫です。査定いたします
  • 遠方にお住まいの方は、お電話と写真でご相談いただけます。現地は当社が見に行きます

ご相談の際、次のものがお手元にあると話が早いです。おそろいでなくても構いません。

  • 固定資産税の納税通知書
  • 建物と土地の登記事項証明書(謄本)、または権利証(登記識別情報)
  • 建築確認の書類(確認済証・検査済証)
  • 市街化調整区域の家は、建てたときの許可の書類
  • 測量図、境界の確認書

解体まで含めて考えたい場合の費用の目安は木造住宅の解体費用はいくら?30坪の目安と条件に、古い家が建ったまま売る場合の考え方は古家付き土地として売る?更地にする?判断の分かれ目に書いています。荷物が残ったままの家の進め方は荷物が残ったままの家は売れる?残置物の処分費と売り方の選択肢にまとめています。まだ売ると決めていない、査定だけ、という段階のご相談でも構いません。

稲美町の訳あり不動産のページもあわせてご覧ください。

ご確認ください

この記事の記載は執筆時点のものです。補助の要件・限度額・受付期間、空き家バンクの登録条件、確認書の必要書類は変更されることがありますので、必ず稲美町の担当課にご確認ください。市街化調整区域で建物を建てたり用途を変えたりできるかどうかは、兵庫県が判断します。基準は改定されることがありますので、東播磨県民局にもご確認ください。3,000万円の特別控除を受けられるかどうかは、税務署が判断します。記事中の画像はイメージです。

よくあるご質問

稲美町の市街化調整区域にある実家は、売ることができますか?

当社が稲美町でお預かりした中で、市街化調整区域であることが理由で行き詰まったことはありません。ただし、買われた方がそのまま住めるかどうかは、その家が建ったときの経緯によって変わります。都市計画法の許可を受けて建った家は、住む方が変わるときに用途変更の許可が必要になる場合があります。まず当社が調べますので、書類がお手元になくてもご相談ください。

空き家バンクに登録するには、先に不動産会社を決めないといけませんか?

稲美町では、所有者ご本人が登録申込書を都市計画課に出したあと、取り扱う不動産会社を決め、その会社が登録カードを町に提出する形になっています。申し込みそのものはご本人からですので、会社が決まっていない段階で都市計画課にご相談いただけます。

不動産会社に売却を依頼していても、空き家バンクに登録できますか?

できます。稲美町空き家バンク制度事業実施要綱に、空き家バンク以外による空き家等の取引を妨げるものではない、と定められています。登録は2年で抹消されますが、あらためて申し込むこともできます。

改修の補助は、売る側が使えますか?

使えません。稲美町の空き家活用支援事業は、空き家を改修して住む方や事業所として使う方が対象です。売却をお考えの方にとっては、買われる方が使える制度という位置づけになります。市街化調整区域のほうが額が大きく、一般世帯で対象工事費300万円以上のときに200万円です。

家の中の荷物を片づける費用に、稲美町の補助はありますか?

稲美町のページに、家財の撤去や処分の費用に対する補助の案内はありません。空き家活用支援事業は改修工事に対するものです。荷物が残っていても当社は買い取っていますので、処分費の目安を含めてご案内いたします。

相続のことを無料で相談できる窓口はありますか?

稲美町が毎月第4木曜日の午後1時30分から、稲美町立コミュニティセンターで弁護士による無料法律相談を開いています。相続や損害賠償など法律全般が対象です。申し込みは相談日の前日8時30分から電話で、先着9人まで。1人20分です。

明石・加古川の訳あり不動産、まずはご相談ください

「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。