境界が分からない家・土地は売れる?測量する前に知っておきたい売却の進め方【明石市・加古川市】
「土地の境界がどこか、正直よく分からない」
「境界標(杭)を探したけど見当たらない」
「隣との塀が、どちらのものか分からない」
「登記の面積と、実際の広さが合っていない気がする」
相続した実家や古くからの土地を売ろうとしたとき、かなりの確率でぶつかるのが、この「境界がはっきりしない」という問題です。「まず測量しないと売れないのでは」「隣ともめたらどうしよう」と、ここで足が止まってしまう方が少なくありません。
最初にお伝えしたいことがあります。境界が分からない状態でも、売却の相談は始められます。そして、先に自己判断で測量を発注する必要はありません。測量が必要かどうか、必要ならどの種類の測量かは、物件と売り方によって変わるからです。順番を間違えなければ、余計な費用をかけたり、隣地との関係をこじらせたりするリスクを減らせます。
この記事では、次のことを順番に説明します。
- 「境界が分からない」によくある4つのパターン
- なぜ売却で境界が問題になるのか
- 境界がはっきりしない土地の売り方3つ
- 隣地と認識が食い違ったときの対処
- 先にやってはいけないこと
結論:「境界が分からない」は、売れない理由ではなく、進め方が変わるだけです

先に結論です。境界がはっきりしない家や土地は、「境界をはっきりさせてから高く売る」か「はっきりしないことを前提に売る」か、進め方を選ぶことになります。どちらが得かは、土地の価値・急ぎ具合・隣地との関係によって変わります。
だからこそ、測量の発注より先にやるべきことは「売り方の選択肢を並べること」です。確定測量に踏み切った場合の手取りの見込みと、現況のまま売った場合・買取で手放した場合の金額を比べてから決めれば、あとから後悔しにくくなります。
実際、当社へのご相談でも「境界が分からないので、まず何をすればいいか教えてほしい」という段階のお話はよくあります。資料と現地を確認すると、実は境界標が土に埋もれていただけだった、というケースすらあります。
「境界が分からない」によくある4つのパターン

ひとくちに境界が分からないと言っても、中身はいくつかに分かれます。ご自身の土地がどれに近いか、思い浮かべながら読んでみてください。
① 境界標(杭・プレート)が見当たらない
本来、土地の角には境界標と呼ばれる目印(コンクリート杭・金属プレート・鋲など)が入っています。ただ、古い住宅地では、工事や舗装のときに失われたり、土や植木に埋もれたりしていることがよくあります。「見当たらない」と「無い」は別で、現地を丁寧に探すと見つかることも多いのです。
② 昔の図面しかなく、正確な面積が分からない
登記されている面積が、明治〜昭和の古い測量に基づいたままの土地は珍しくありません。実際に測ると登記より広い(縄延び)・狭い(縄縮み)ということが普通に起こります。面積は売却金額に直結するため、どの面積を前提に売るかが論点になります。
③ 塀・擁壁・植木がどちらのものか分からない
境界線の上に塀が建っている、隣の木の枝がこちらに伸びている、こちらの給排水管が隣地の下を通っている。いわゆる越境の問題です。所有が曖昧なまま長年使われてきた工作物は、古い住宅地の定番の悩みです。
④ 隣地との間で、認識が食い違っている
「先代同士の口約束でここが境界ということになっている」「うちはここまでだと思っていたが、隣は違うと言っている」というパターンです。感情のもつれに発展しやすく、いちばん慎重な対応が必要になります。
このほか、公図を取って初めて分かるものに、敷地の中や脇を通る里道(赤道)や水路(青道)があります。境界そのものの話というより、その部分だけ持ち主が国や市町村になっているという話で、売るときの手順が変わります。
なお、公図そのものの読み方(何が書いてあって何が書いていないのか、なぜ現地と形が合わないのか)は公図の見方で説明しています。
なぜ売却で境界が問題になるのか
買う側の立場に立つと、理由がよく分かります。
- 買った後のトラブルを避けたい:境界が曖昧なまま買うと、塀の建て替えや建築のときに隣地ともめるリスクを買主が引き継ぐことになります
- 住宅ローンの審査:金融機関によっては、境界や面積がはっきりしない土地の担保評価が厳しくなることがあります
- 面積が金額に直結する:登記面積と実測面積が違えば、土地の価格も変わります。どちらを基準にするかを契約で決めておく必要があります
つまり境界の問題は、「売れない」問題ではなく「買主の不安をどう解消するか」の問題です。解消の仕方が、次の3つの売り方です。
境界がはっきりしない土地の売り方は3つ

選択肢① 確定測量をしてから売る:時間と費用をかけて、高く売りやすくする
土地家屋調査士に依頼して、境界をはっきりさせてから売る方法です。境界の確認には段階があります。お隣など民有地との境界は、所有者どうしの立ち会いを経て筆界確認書(境界確認書)を取り交わす形で確認します(いわゆる民民の境界確認)。さらに、前面道路や水路など役所が管理する土地との境界(官民境界)の確定まで行い、すべての境界をはっきりさせたものが、一般に確定測量と呼ばれます。境界がはっきりした土地は買主が安心して買えるため、一般の仲介で高く売りやすくなります。
一方で、隣の土地の所有者の立ち会いと、道路の管理者との調整が必要になります。たとえば明石市の道路境界明示の手引きには「必要な書類が揃っていれば、約3週間で現地に伺います」「明示書は必要書類が揃ってから、10日程度(土日祝除く)で交付します」と書かれています。ここに隣の方との日程調整が加わります。
費用は、日本土地家屋調査士会連合会の報酬ガイド令和7年度版で、土地地積更正登記の兵庫県会の中央値が50万円(税抜)。境界杭などの実費と消費税は別です。隣の方の協力が得られないと完了しません。
境界の不安を根本から解消できる方法ですが、売値に対してこの費用が見合うかどうかは物件によって変わります。仲介で広く買主を探す売り方とは、相性のよい進め方です。
選択肢② 境界を確定させないまま売る:現況・公簿での売買
登記上の面積を前提に、境界非明示・実測しない条件で売買する方法です。買主がその条件を了解していることが前提になるため、リフォームして住みたい方や事業者、隣地の方への売却(隣の方はその土地の事情をよく知っています)と相性が良い売り方です。金額は確定測量済みの土地より抑えめになりますが、測量の費用と数か月の時間をかけずに進められます。
選択肢③ 買取で手放す:境界の課題ごと会社に引き受けてもらう
不動産会社の買取なら、境界の調査・確定にかかる手間とリスクを会社側が引き受けます。金額は仲介の相場より下がりますが、隣地との調整に自分が関わらずに済み、期間も短いのが利点です。隣地との関係が難しい場合や、遠方で対応できない場合、早く手放したい場合の現実的な方法になります。
どの選択肢が得かは、物件の価値と事情によって本当にケースバイケースです。当社では、①で進めた場合の手取り見込みと③の買取額を並べてご提示していますので、比べてから決めてください。(仲介と買取の仕組みの違いは買取と仲介どっちが得?をどうぞ。売却にかかる費用の全体像は家を売るときにかかる費用の一覧にまとめています。)
「測量」にも種類がある:現況測量と確定測量
ひとくちに測量と言っても、目的の違う2種類があることは知っておいて損がありません。
- 現況測量:今ある塀や杭を手がかりに、土地のおおよその形と面積を測るものです。隣地の立ち会いは不要で、期間も費用も小さく済みます。売り出しの資料づくりや、建物のプラン検討に使われます。ただし、これで境界が「確定」するわけではありません
- 確定測量(境界確定測量):隣地の所有者や道路の管理者に立ち会ってもらい、全員の同意のうえで境界を確定させるものです。境界標の設置と図面の作成までを行い、その土地の境界問題を根本から解消します。そのぶん期間は長く、費用も大きくなります
よくある失敗が、「とりあえず測量」と現況測量を頼んだあとで、買主から確定測量を求められて二度手間になるパターンです。逆に、買取や現況売買で進めるなら確定測量までは不要なこともあります。どちらが必要かは、売り方が決まってから考えます。
費用の目安や、道路との境をどこに申請するかは確定測量と現況測量は何が違う?費用の目安と、隣の方が分からないときの進め方にまとめています。
隣地と認識が食い違ったら:制度と専門家があります
「隣と言い分が違う」場合でも、いきなり裁判ではありません。段階に応じた道具立てが用意されています。
- 土地家屋調査士による調査・立ち会い:資料と現地から境界の根拠を整理し、隣地との立ち会いを取りまとめてくれる、境界の専門家です
- 筆界特定制度:法務局に申請して、筆界(登記上の境界)の位置を公的に特定してもらう制度です。裁判に比べて短い期間で利用しやすいとされています(法務省:筆界特定制度)
- 境界問題のADR(裁判外紛争解決):土地家屋調査士会が弁護士会と連携して運営する、話し合いによる解決の場です。兵庫県では「境界問題相談センターひょうご」が窓口です(日本土地家屋調査士会連合会:ADR境界問題相談センター)
こうした制度を使うかどうかの見極めも含めて、まずは売却の相談先に状況を話すのが近道です。当社も、必要に応じて土地家屋調査士など専門家と連携してご案内します(境界の確定や法的判断そのものは、それぞれの専門家の業務です)。
※本記事は、売却前の考え方を整理するための情報です。筆界の確認・確定に関する個別の判断は、土地家屋調査士・法務局など専門の窓口への確認を前提にしています。
越境が見つかったときは、まず解消できないかを考えます
塀や枝、配管などの越境が見つかっても、すぐに撤去工事が必要になるわけではありません。ただ、当社はいきなり覚書にはいたしません。まず、解消できないかを考えます。枝を切る、雨樋を付け替える、塀を作り直す。工事で直せるものは、売り出す前に直します。
どうしても解消できないものが残ったときに、「越境の事実をお互いに確認し、建て替えのときに解消する」という内容の覚書を隣地と取り交わして、売買を進めます。覚書に何を書くか、隣の木の枝の切り方が2023年4月にどう変わったかは越境がある家は売れる?覚書の前に、まず解消できないかを見ますにまとめています。
先にやってはいけない3つのこと
① 自己判断で高額な測量を発注してしまう
測量には種類があり、目的によって必要なものが違います。現況測量で足りるのか、確定測量まで必要なのか、そもそも売り方によっては測量不要なのか。売り方を決める前に発注すると、順番が逆です。かけた費用を売却金額で回収できないこともあります。まず売り方の相談が先です。
② 隣地の方と、直接境界の交渉を始めてしまう
境界の話は、言い方ひとつで長年のご近所関係が壊れることがあります。感情的にこじれてからでは、筆界特定などの制度を使っても時間がかかります。土地家屋調査士など、資料の裏付けを持った専門家に間に入ってもらい、事務的な確認として進めるのが安全です。
③ 「境界が分からないから」と放置してしまう
時間が経つほど、境界の事情を知る人(ご両親の世代・古くからの隣人)はいなくなり、確認は難しくなっていきます。固定資産税の負担も続きます(空き家放置の税金リスク)。境界の記憶が残っているうちに動くことが、この問題ではとりわけ大事です。
境界の確認から売却までの流れ(5ステップ)
「境界が分からない」状態から売却までの、標準的な流れを整理します。
- 資料集め:納税通知書・登記の資料・古い図面など、手元にあるものを集めます。無いものがあっても大丈夫です。登記事項証明書や公図は、あとから法務局で取得できます
- 現地の確認:境界標が残っていないか、塀や植木の越境がないかを現地で確認します。ここは自己判断より、見慣れた会社と一緒に見るのが確実です(当社はこの段階から無料でお手伝いします)
- 売り方の選択:確定測量して売る・現況のまま売る・買取で手放す、の3つを金額の見込みつきで比べて選びます
- 必要な場合のみ、専門家に依頼:確定測量が必要な売り方を選んだ場合に、土地家屋調査士へ依頼します。隣地への立ち会いのお願いや調整は、土地家屋調査士が中心になって進めます
- 売り出し・契約:境界と面積の扱い(実測か公簿か、越境の覚書の有無)を契約条件にきちんと落とし込み、あとから揉めない形で引き渡します
ポイントは、費用のかかる工程(測量)が流れの後半にあることです。先にお金をかけない順番になっているので、途中で「今は売らない」という結論になっても損をしません。
明石・加古川エリアの境界事情
当社の地元である明石市・加古川市周辺では、こんな傾向があります。
明石市の旧市街や海側の古い住宅地には、狭い路地に面した古い家が多く、境界標の欠落や塀の越境が重なっているケースがよく見られます。土地の価値が見込めるエリアでは、確定測量をしてから売る選択肢が活きやすい地域です。(狭い土地・路地の奥の土地の売り方は狭い土地・変形地は売れない?で詳しく解説しています。)
加古川市では、敷地の広い古いお宅で「登記面積と実測が合わない」パターンのご相談が目立ちます。面積が大きいぶん、どの面積を前提に売るかで金額の差も大きくなるため、売り方の選択がより重要になります。
どちらの市でも、古い家が建ったままの土地は、境界の問題と古家付き土地の売り方の論点が重なります。あわせてご覧ください。

NextHomeの場合:測量や手続きにお金をかける前に、まずご相談ください
私たちNextHomeは、明石市・加古川市を中心に、境界がはっきりしない土地・古い家・再建築不可など「普通には売りにくい」と言われる不動産のご相談を専門に受けている会社です。
- お手元の資料(納税通知書・登記資料・古い図面)と現地確認から、境界の状況を整理するところからお手伝いします
- 確定測量して売る場合の手取り見込みと、現況のまま売る場合・買取の場合の金額を並べて比較できます
- 測量や筆界の確認が必要な場合は、土地家屋調査士など専門家と連携してご案内します(費用感も事前にご説明します)
- 売らないという結論になっても構いません。しつこい営業はしません
境界や面積がはっきりしていなくても、そのままご相談いただけます。手元の資料と現地を一緒に確認して、「何が分かっていて、何が分かっていないのか」を整理するところから始めるのが、私たちの仕事です。
ご相談前に、あると話が早いもの
全部そろっていなくても大丈夫です。まずはお手元にあるものだけご用意ください。
- 固定資産税の納税通知書(毎年春に届く書類)
- 登記の資料(権利証・登記識別情報、登記事項証明書など)
- あれば昔の測量図・建築時の図面
- 土地の四隅と、塀・境目あたりのスマホ写真
よくあるご質問
Q. 境界が分からないままでも、査定してもらえますか?
A. はい、できます。資料と現地の確認から始めて、境界の状況ごとに「確定測量して売る場合」「現況のまま売る場合」「買取の場合」の金額の見込みをご説明します。
Q. 売る前に、必ず測量しないといけませんか?
A. 必ずではありません。売り方によっては測量せずに進められる場合があります。測量が必要かどうか・どの種類が必要かは物件と売り方で変わるため、発注の前にまずご相談ください。
Q. 境界標が見当たりません。もう確認できないのでしょうか?
A. 諦めるのは早いです。土に埋もれているだけのことも多く、法務局や市役所の資料から根拠をたどれる場合もあります。現地と資料の両方から確認します。
Q. 隣の家との間で、境界の言い分が食い違っています。売れませんか?
A. 進め方はあります。土地家屋調査士による立ち会いの取りまとめや、法務局の筆界特定制度など、段階に応じた公的な解決の仕組みがあります。こじれる前の早めのご相談をおすすめします。
Q. 隣の塀や木がこちらに越境しています。撤去してもらわないと売れませんか?
A. 撤去が必須とは限りません。当社では、まず越境を解消できないかを考えます。解消が難しい場合は、越境の事実を確認し合う覚書を交わして売買を進めます。覚書には、次に所有される方に引き継いでいただく約束も入れます。
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