不動産の決済当日、売主の持ち物は?基本の6点と書類が増える場合
決済の日が決まると、売主さまから決まって出てくるご質問があります。「当日は何を持って行けばいいですか?」——今回はこの質問にお答えします。売買契約から引き渡しまでの全体の流れは前の記事でお話ししましたので、この記事は決済当日の売主さまの持ち物と、当社がどう準備をお手伝いしているかに絞ります。
決済当日の持ち物リスト
| 持ち物 | 何に使うか |
|---|---|
| 権利証(登記識別情報) | 所有権移転の登記に必要。緑や青の表紙の「登記済権利証」か、12桁の番号が書かれた「登記識別情報通知」 |
| 実印 | 登記の書類への押印に使う |
| 印鑑証明書 | 発行から3ヶ月以内のもの。実印とセットで登記に必要 |
| 本人確認書類 | 運転免許証など。司法書士が本人確認に使う |
| 通帳など振込先が分かるもの | 残代金の受け取り口座の確認 |
| 家の鍵一式 | 引き渡しでお渡しする。スペアキーも含めて |
基本はこの6点です。それぞれ、なぜ要るのかを順に見ていきます。なお、登記に載っている住所やお名前が今と違う場合は、このリストに書類が加わります。あとで詳しくお話しします。
権利証(登記識別情報)——いちばん早めに確認してほしい物
家の名義を買主さまに移す登記に使う、いちばん大事な書類です。古い物件では緑や青の表紙の「登記済権利証」、比較的新しい登記では「登記識別情報通知」という書類になっています。
そして、これが見つからないご相談は珍しくありません。相続した家では特によくあります。権利証は再発行ができないため、見つからない場合は司法書士による本人確認の手続きなどで代えることになり、別途の時間と費用がかかります。売却自体はできますので、売却を考え始めた段階で、まず手元にあるかを確認してください。対処法は権利証が見つからないときの記事で詳しくお話ししています。
お手元にあるのが「登記識別情報通知」の場合、番号の部分に目隠しのシールが貼られていたり、折り込みで隠されていたりします。シールは剥がさず、そのままお持ちください。この番号そのものが権利証の役目をする大事な情報なので、コピーを取ったり、取引に関係のない人に見せたりしないようにしてください。

実印と印鑑証明書——「3ヶ月以内」に注意
所有権を渡す側の売主は、登記の書類に実印で押印し、印鑑証明書を付けます。この印鑑証明書は不動産登記令16条で作成後3ヶ月以内のものと決められています。早く取りすぎると決済日に期限が切れている、ということが起きるので、取得のタイミングは当社と司法書士がご案内します。マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。
当日は司法書士が売主さま・買主さまの本人確認と書類のチェックを行います。運転免許証などの本人確認書類は、そのために必要です。名義の移転を正確に行うための確認ですので、ご協力ください。
残代金は、決済の場で振り込みの手続きと着金の確認まで行うのが一般的です。受け取り口座を間違いなく確認するために、通帳やキャッシュカードなど、振込先の分かるものをお持ちください。
登記の住所・氏名が今と違う場合——書類が増えます
引っ越しをされていて、登記に載っている住所と今の住所が違う。結婚などでお名前が変わっている。この場合は、名義を移す前提として、住所や氏名の変更登記が必要になります。といっても、売主さまが事前に法務局へ行く必要はありません。名義を移す所有権移転の登記と一緒に、司法書士がまとめて申請するのが一般的です。売主さまにお願いするのは、次にお話しする書類の準備だけです。
必要になるのは、住所の変更なら住民票の写し(登記上の住所から今の住所への移り変わりが分かるもの)、引っ越しを重ねていて住民票でつながりを証明できない場合は戸籍の附票の写しなど。氏名の変更なら戸籍謄本など、変わったことの分かる書類です。どれが必要かはご事情によって変わるので、司法書士の案内に沿って取得していただきます。
ひとつ、知っておいていただきたい話があります。2026年4月から、住所・氏名の変更登記は義務化されました。変更から2年以内に登記の申請をしないと、正当な理由がない場合、5万円以下の過料の対象になる可能性があります(義務化より前の変更も対象で、こちらは2028年3月末までとされています)。売却の際には名義を移す登記と一緒に必ず行うことになるので、売却が、たまっていた変更登記を済ませるきっかけにもなります。
あわせて、義務化に合わせて「スマート変更登記」という制度も始まっています。あらかじめ法務局に検索用の情報を届け出ておくと、引っ越しなどのあと、法務局が変更を確認し、本人の了解を得たうえで無料で変更登記をしてくれる制度です。ただ、これから売却する場合は、この制度を待たなくても、名義を移す登記と一緒に司法書士が変更登記を申請します。
当社の進め方——当日までに3回確認します
持ち物の話は、当日にいきなり言われても困るものばかりです。そこで当社では、時期を分けて3回確認しています。
まず物件をお預かりした時点で、必要な物を一式ご案内します。権利証が手元にあるか、住所やお名前が登記のときと変わっていないかを、ここで確認します。見つからない・変わっている、が早く分かれば、対処の時間は十分あります。
次に買主さまが決まった段階で、司法書士に登記費用の見積もりを依頼するのと合わせて、必要書類をあらためて確認します。そして決済日までに、売主さまに取得していただいた書類に間違いがないか、当社から司法書士にメールで最終確認します。当日になって「書類が足りない」とならないための備えです。
なお、登記の税額の計算に使う固定資産評価証明書は、売主さまに委任状をいただいて当社が取得する形が基本です。役所まで取りに行っていただく手間はかけません。また、住宅ローンが残っている場合の金融機関とのやり取りも、決済日までに当社・司法書士と金融機関の間で済ませておくので、当日に売主さまが特別に持つ物はありません(ローンが残っている家の売却の全体像はこちらの記事)。
鍵と、物件の関係書類
鍵は、玄関だけでなく勝手口・門扉・物置なども含めて、あるものを全部お持ちください。スペアキーもです。あわせて、建築確認の書類や設備の保証書・取扱説明書など、その家に関する物はできるだけ持ってきていただくようお願いしています。買主さまがその後の暮らしや手続きで使うからです。
ただ、古い家や相続した家では、書類がどこにあるか分からないことも多いものです。無いものは無いで、そのまま教えてください。あるものを引き継いでいただければ大丈夫です。

まとめ
決済当日の持ち物は、権利証(登記識別情報)・実印・印鑑証明書(3ヶ月以内)・本人確認書類・通帳・鍵一式の6点が基本です。住所やお名前が登記のときと変わっていれば、住民票や戸籍の書類が加わります。当社は物件をお預かりした時点・買主さまが決まった段階・決済日前の3回に分けて必要な物を確認し、評価証明書の取得は委任状で当社が代わりに行いますので、当日に慌てる心配はありません。
権利証が見つからない、住所変更の登記がまだ、という場合も含めて、まだ売ると決めていない、査定だけ、という段階のご相談でも構いません。お気軽にどうぞ。
ご確認ください
この記事の記載は執筆時点のものです。登記に必要な書類は、物件の登記の状況とご事情によって変わります。実際の取引では、担当の司法書士の案内に沿ってご準備ください。変更登記の義務化の内容は法務省のページでご確認ください。当社の進め方に関する記載は当社の場合であり、不動産会社や司法書士によって進め方は異なります。
よくある質問
決済の日、売主は何を持って行けばいいですか?
権利証(登記識別情報)・実印・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)・運転免許証などの本人確認書類・振込先の分かる通帳・家の鍵一式が基本です。登記の住所や氏名が今と違う場合は、住民票や戸籍の書類が加わります。
権利証が見つかりません。売れませんか?
売れます。司法書士による本人確認の手続きなどで代える方法があり、別途の費用と時間がかかります。早く分かれば対処の時間が取れるので、売却を考え始めた段階で手元を確認して、見つからなければ最初にご相談ください。
印鑑証明書は、いつ取ればいいですか? 何通必要ですか?
登記に使う印鑑証明書は作成後3ヶ月以内のものと決められているので、早く取りすぎると使えなくなります。必要な通数と取得のタイミングは取引の内容によって変わるため、司法書士の案内に沿って取得してください。
引っ越していて、登記の住所と今の住所が違います。どうなりますか?
名義を移す前に住所の変更登記が必要になり、住民票の写しなどの書類が加わります。引っ越しを重ねている場合は戸籍の附票の写しなどが必要になることもあります。売却の登記とまとめて司法書士が進めるのが一般的です。
住所変更の登記をずっとしていません。まずいですか?
2026年4月から住所・氏名の変更登記は義務化されており、変更から2年以内に申請しないと、正当な理由がない場合は5万円以下の過料の対象になる可能性があります。売却の際には名義を移す登記と一緒に必ず行うので、売却と合わせて済ませられます。
本人が決済の場に行けない場合はどうなりますか?
遠方などのご事情でどうしても来られない場合は、司法書士に手続きを一任する方法を取ることもあります。別途の費用はかかりますが、ご都合の付かない方には使われている方法です。日程や進め方と合わせてご相談ください。
「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。
