高砂市で相続した空き家を売る|狭い道の後退用地を市が引き取る制度
高砂市の実家を相続したものの、遠方にお住まいだったり、片付けが進まなかったりで、空き家のままになっている。そういうご相談をいただきます。
高砂市には、幅4メートルに足りない道に面した家が多く残っています。こうした土地では、建て替えるときに建物を道路から後ろへ下げることになります。下げた部分の土地をどうするかは、売るときにも問題になります。高砂市はこの後退部分について、所有者から寄附を受けたうえで、測量から分筆・登記、道路の整備までを行うという要綱を定めています。
この記事では、高砂市の空き家を売るときに関わってくる制度と、売り出す前に確認しておくことを整理しました。
高砂市の家を売る前に、当社が確認すること
ご相談をいただいたら、売り出す前に次のようなことを当社で調べます。同じ高砂市内でも、この結果しだいで進め方が変わります。
| 前面道路 | 建築基準法上の道路に接しているか。幅員が4メートルに足りているか、足りない場合は後退がどれだけ必要か |
| 区域区分 | 市街化区域か、市街化調整区域か。建て替えの可否と、後で触れる補助の対象かどうかが変わります |
| 境界 | 境界標があるか、隣地との認識が合っているか |
| 登記の状態 | 名義が被相続人のままか。増築部分が未登記になっていないか |
| 建物の傷み | 屋根・外壁・床下・雨漏りの跡。空いていた期間が長いほど見る箇所が増えます |
| 給排水の引き込み | 水道メーターや汚水の公共桝がどこにあるか。道路の後退が絡むときは、この位置も確認します |
前面道路と敷地の関係は、公図と現地の両方を見ないと分かりません。図面の上では道に見えても地番が振られていることがありますし、その逆もあります。公図の読み方は公図の見方|「地図」と「地図に準ずる図面」の違い、現地と合わない理由で説明しています。
境界がはっきりしないときの進め方は、境界が分からない家・土地は売れる?にまとめています。
幅4メートルに足りない道は、後退した部分を高砂市が引き取ります
幅4メートル未満の道に接した土地では、道路の中心線から2メートル下がった線より内側にしか、建物を建てられません。建築基準法でそう決まっています。この線まで建物を後ろへ下げることをセットバックといいます。
セットバックの基本はセットバックとは?幅4m未満の道路に接する家の売却で説明しています。ここでは高砂市での扱いを書きます。
高砂市は平成26年4月1日から高砂市狭あい道路整備要綱を施行しています。高砂市は要綱のページで、後退部分について「後退部分の道路整備や維持管理の明確な規定がないため、所有者等の自己管理に任されており、有効な道路拡幅が進んでおりません」と説明しています。下がったところが誰にも手入れされないまま残ってしまう、という状態を解消するための制度です。

寄附をすると、測量・分筆・登記まで高砂市が行います
後退道路用地を高砂市に寄附する場合、次のことを高砂市が行うと案内されています。
- 後退道路用地の測量・分筆・登記
- 後退道路用地内にある水道メーター、汚水公共桝の移設
- 状況に応じた道路整備
測量と分筆は、通常なら土地家屋調査士に依頼して費用が発生する部分です。水道メーターや公共桝が後退部分にかかっている場合の移設も同じです。手続きは、事前相談から事前協議書の提出、協定の締結、測量・分筆、所有権移転登記、道路整備工事という流れで進みます。
法人が建てる場合は、原則として対象外です
対象になるのは、狭あい道路に接する敷地で建築確認を出す場合です。ただし高砂市開発指導要綱が適用されるものは除かれ、法人は原則として対象外と明記されています。買取再販を手がける会社が買って建て替える場合には当てはまらないことになりますので、誰が次に建てるかによって扱いが変わります。
高砂市は「先着順になります。予算に限りがありますのでご注意ください」「予算や申請の状況により測量や道路整備までに相当な期間がかかる場合があります」とも案内しています。申し込めば必ず順番が回ってくるわけではありませんし、工事が始まるまでに時間がかかることもあります。
売るときは、この制度があることを買主さまにお伝えします
この制度が使えるのは、建築確認を出すときです。売るときではなく、買われた方が建て替えるときに関わってきます。それでも売主さまに関係のない話ではありません。後退が必要な土地は、その分だけ建てられる家が小さくなります。そのうえ測量や桝の移設まで買主さまの負担となれば、購入をためらう方も出てきます。高砂市が引き取ってくれることを売り出すときに正確に伝えられれば、話が前に進みやすくなります。
車が入らない道の家でも、購入される方はいらっしゃいます
高砂市の荒井のあたりで、車がまず入れない道に面した家をお預かりしたことがあります。家の前まで車を乗り付けることはできない条件でした。それでも購入される方が見つかり、売買が成立しています。

車が入らないことは、価格には響きます。ただ、それだけで売れないということはありません。その条件を受け入れられる方はいらっしゃいます。詳しくは車が入らない・停められない家は売れる?をご覧ください。
建て替えができない土地についても同じで、扱い方はいくつかあります。再建築不可の家は売れる?で方法を整理していますので、あわせてお読みください。
高砂市空き家活用支援事業は、購入される方が使う補助です
高砂市には、空き家を取得して改修する方への補助があります。高砂市空き家活用支援事業で、担当は都市創造部 建築住宅課です。
| 住宅型〈一般タイプ〉・事業所型 | 改修費の2分の1(上限150万円)/募集4件 |
| 住宅型〈若年・子育て支援タイプ〉 | 改修費の3分の2(上限200万円)/募集4件 |
若年・子育て支援タイプの対象は、夫婦の合計年齢が80歳未満の世帯か、18歳以下のお子さんまたは妊娠中の方と同居する世帯です。いずれも高砂市税を完納していることが条件になります。
建物側の要件もあります。高砂市空き家バンクに登録された住宅であること、市街化区域内にあること、空き家になって6か月以上経っていること、築20年以上であること、水回りの設備が10年以上更新されていないこと。昭和56年5月31日以前に建てられたものは、耐震性能を確保することが必要です。
受付は年度ごとで、令和8年度は5月7日からと案内されています。先着順で、定員に達した日に複数の申し込みがあれば抽選になります。事業は交付決定を受けた年度の2月末日までに終える決まりです。
購入される方が使う制度ですので、売主さまが申請するものではありません。ただ、この補助があることで、古い家を探している方が購入を検討しやすくなります。
高砂市の空き家バンクは、情報を載せるところまでの制度です
高砂市空き家バンクは、市内の空き家や空き店舗の情報を、住みたい方・お店を開きたい方に届けるための制度です。登録できるのは、住宅や店舗として建てられ、現在使っていない建物とその敷地。共同住宅と長屋住宅、所有者が個人でないものは対象から外れます。
申し込みには、登録申込書と誓約書、登録カード、所有を証明する書類、物件の写真(外観・内観それぞれ3枚程度)が必要です。
高砂市は「売買及び賃貸借に関する交渉、契約等に関しては一切関与しない」と明記しています。情報を載せるところまでが高砂市の役割で、実際の取引は当事者どうしで進めることになります。高砂市自身も、売買や賃貸借は宅地建物取引業者に媒介を依頼することを勧めています。
3,000万円の控除に使う確認書は、建築住宅課が窓口です
相続した空き家を売ったとき、条件が合えば譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。この控除の中身は空き家の3,000万円控除とは?更地にしたら使えないは誤解で説明しています。
この特例を使うには、家があった市区町村から被相続人居住用家屋等確認書を交付してもらい、確定申告に添える必要があります。高砂市の窓口は都市創造部 建築住宅課です。申請書に必要書類を添えて提出し、審査を経て交付されます。
遠方にお住まいの方に関わるところとして、高砂市は郵送での提出を受け付けています。その場合は返信用封筒を同封するよう案内されています。相続人が県外にいらっしゃる場合でも、市役所まで足を運ばずに済みます。

この確認書は、窓口も必要書類も市区町村によって違います。当社の対応エリアでは次のようになっています。
| 高砂市 | 都市創造部 建築住宅課/郵送可(返信用封筒が必要) |
| 明石市 | 1週間程度(明石市の記事) |
| 加古川市 | 住宅政策課(加古川市の記事) |
| 神戸市 | 2週間程度(神戸市西区の記事) |
| 姫路市 | 住宅課住宅政策担当/電気またはガスの閉栓証明書が必要(姫路市の記事) |
| 三木市 | 生活安全課 空き家対策係/郵送可(三木市の記事) |
| 播磨町 | 都市計画課(播磨町の記事) |
| 加東市 | ホームページに案内ページなし。市役所に申請(加東市の記事) |
売るまでの順番
相続した家を売る場合、先に済ませておくことがあります。
まず相続登記です。相続人は、相続が始まった時から亡くなった方の財産を引き継いでいます(民法896条)。ですので、名義が亡くなった方のままでも、相続人が売主として売買契約を結ぶことはできます。ただし、所有権を買主へ移す登記は亡くなった方の名義からは直接できませんので、決済(代金の受け取りと引き渡し)までに相続登記を済ませておく必要があります。相続登記は令和6年4月から義務になっており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内という期限があります。相続人が複数いらっしゃる場合は、遺産分割の話し合いから始まりますので、日数を見ておく必要があります。期限と費用は相続登記とは?義務化の期限・費用・手続きの流れにまとめています。
荷物が残っていても、そのままご相談いただけます。片付けてからでないと相談できない、ということはありません。処分の費用と進め方は荷物が残ったままの家は売れる?にまとめています。
解体については、売り方が決まる前に急がないでください。更地にしたほうが売りやすい土地もあれば、家が建ったまま売ったほうがよい場合もあります。固定資産税の扱いも変わります。古い家ごと売る?壊してから売る?で比べていますので、判断の前にお読みください。
高砂市の売却で、当社がお手伝いできること
ご相談をいただいたら、まず現地を見て、道路と敷地の関係、境界、建物の状態を確認いたします。前面道路が4メートルに足りない場合は、どれだけ下がることになるのか、後退部分に水道メーターや公共桝がかかっていないかも見ます。そのうえで、買取の金額と、仲介で売り出す場合の価格の両方をご提示いたします。
- 公図と現地を突き合わせ、道路と境界の状況を確認いたします
- 後退が必要な土地は、その範囲と、高砂市の制度の対象になりうるかを調べます
- 荷物が残った状態のまま、査定にお伺いいたします
- 遠方にお住まいの場合は、写真とお電話でのやり取りから始められます
まだ売ると決めていない、査定だけ、という段階のご相談でも構いません。荷物が残ったままでもお伺いします。高砂市の訳あり不動産のページもあわせてご覧ください。
ご確認ください
この記事の記載は執筆時点のものです。補助の要件・限度額・受付期間、狭あい道路整備要綱の運用、確認書の必要書類とかかる日数は変更されることがありますので、必ず高砂市の担当課にご確認ください。3,000万円の特別控除を適用できるかどうかは、要件を満たすかどうかを税務署が判断します。記事中の画像はイメージです。
よくあるご質問
後退した部分を高砂市に寄附すると、土地はその分減ってしまうのですか?
所有権としては減ります。寄附ですので、後退した部分は高砂市のものになります。ただし、寄附をしてもしなくても、その土地に建てられる家の大きさは、後退した線から内側の面積で決まります。使えない部分を自分で持ったまま手入れするか、高砂市に引き取ってもらって整備まで任せるか、という違いです。
狭あい道路の制度は、売る前に使えますか?
売る段階では使えません。この要綱が使えるのは、狭あい道路に接する敷地で建築確認を出すときです。建てる予定がない状態で、後退部分だけを先に寄附する形は想定されていません。売るときは、この土地が高砂市の制度の対象になりうることを、購入される方にお伝えします。個別に使えるかどうかは高砂市の建築住宅課が判断しますので、お手元の物件については当社から高砂市に確認いたします。
空き家活用支援事業は、売る側が申請するものですか?
いいえ。申請するのは、空き家を取得して改修される方です。ただ、対象になる建物であれば、探している方が購入に踏み切りやすくなります。募集は年度ごとで件数も限られていますので、お問い合わせの際に補助の話が出たときは、高砂市の受付状況を確認したうえでご案内いたします。
高砂市の空き家バンクに登録すると、高砂市が買主を探してくれるのですか?
いいえ、高砂市が買主を探してくれるわけではありません。高砂市は登録された物件の情報をホームページに掲載する役割で、売買の交渉や契約には関与しないと明記しています。実際の取引は当事者どうしで進めることになり、高砂市自身も宅地建物取引業者への媒介の依頼を勧めています。掲載したからといって買主が見つかるとはかぎりません。
3,000万円の控除の確認書は、遠方に住んでいても取れますか?
取れます。高砂市は郵送での申請を受け付けており、返信用封筒を同封するよう案内されています。県外にお住まいでも、市役所へお越しいただかずに手続きが進みます。ただし添える書類には、売買契約書の写しなど売却が済んでから用意するものが含まれます。確定申告の期限から逆算して動く必要がありますので、売却の日程が決まった段階で当社からもご案内いたします。
高砂市に、空き家の解体費用の補助はありますか?
高砂市の住宅・建築物に関する助成の一覧と空き家対策のページには、執筆時点で解体費用そのものへの補助は掲載されていません。掲載されているのは、空き家活用支援事業、住宅耐震化促進事業、既存住宅省エネ化促進事業などです。解体を検討される場合は、費用の目安を木造住宅の解体費用はいくら?30坪の目安と条件で確かめてください。更地にして売るか、家が建ったまま売るかの比べ方は古い家ごと売る?壊してから売る?にまとめています。
「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。
