無料で相談する
訳あり不動産

セットバックとは?幅4m未満の道路に接する家の売却【明石市・加古川市】

公開日:2026年7月18日 更新日:2026年8月29日

「建て替えるときは、道路から下がってもらう必要がありますね」——実家や古い家の売却を考えて調べ始めると、こんな言葉に出会うことがあります。これが「セットバック(道路後退)」です。明石市・加古川市周辺でも、昔ながらの住宅地や旧集落の中には幅の狭い道が多く、セットバックが関係する家はめずらしくありません。

先に結論をお伝えすると、セットバックが必要な家も、今のまま売ることができます。ただ、ふつうの家とは説明の仕方や価格の考え方が少し違います。この記事では、セットバックとは何か、なぜ必要なのか、売却にどう影響するのかを、建築基準法と明石市・加古川市の公式情報をもとに整理します。

セットバックとは?——「幅4m未満の道」に接する家の話

建築基準法では、建物の敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないとされています(接道義務・建築基準法43条)。火事や地震のとき、消防車が入れて、安全に避難できる街にするためのルールです(建築基準法(e-Gov法令検索))。

ところが、この法律ができる前から家が建ち並んでいた古い街並みには、幅4mに満たない道がたくさん残っていました。そこで法律は、こうした道のうち一定の条件を満たして特定行政庁(市など)が指定したものを、「道路とみなす」ことにしました。これが建築基準法42条2項に定められた、いわゆる「2項道路(みなし道路)」です。

2項道路に接する敷地では、原則として道路の中心線から2mの線が「道路との境界」とみなされます。つまり、建て替えや新築のときには、その線まで敷地を下げる——これがセットバックです。道の反対側ががけや川などの場合は、反対側の境界から4mの線まで下がります。みんなが少しずつ下がっていけば、いずれ道全体が幅4mになる、という仕組みです。

幅の狭い2項道路に面した古い住宅と塀のイメージ

セットバックすると、何が変わる?

セットバックで下がった部分(後退部分)は、法律上は道路として扱われます。そのため、次のような扱いになります。

項目 後退部分の扱い
建物 建てられない(道路内の建築は禁止・建築基準法44条)
門・塀 これも「建築物」として扱われ、造れない。建て替え時には撤去が求められる
建ぺい率・容積率の計算 敷地面積に算入できない。建て替え後の家の大きさは、後退後の面積で計算する
土地の所有権 セットバックしても所有権は基本的にそのまま残る(市の寄付・買取などの制度は後述)

たとえば、道路に面した間口が10mの敷地で、中心線まで50cm下がる必要がある場合、10m × 0.5m = 約5㎡(約1.5坪)が敷地面積の計算から外れることになります。※仕組みを分かりやすくするための計算の例です。実際の後退距離は道の現況によって一軒ずつ違います。

大事なのは、今建っている家はそのまま使い続けられるということです。セットバックが求められるのは、建て替えや新築を行うタイミング。「今すぐ下がって家を削らないといけない」わけではありません。

売却にはどう影響する?

セットバックが必要な家を売るとき、影響するポイントはおもに3つあります。

①有効に使える面積が、登記上の面積より小さい

買主が建て替えるときには後退が前提になるため、「登記上の面積」と「建物を建てるのに使える面積」に差が出ます。価格を考えるときも、この差を踏まえて評価されるのが一般的です。

②買主への説明が必ず必要になる

2項道路に接していること・セットバックが必要なことは、売買のときに宅地建物取引士が行う重要事項説明で必ず説明される内容です。隠して売ることはできませんし、隠す必要もありません。最初から前提として整理して売り出すほうが、あとのトラブルを防げます。

③「未後退」か「後退済み」かで印象が変わる

同じ2項道路沿いでも、すでにセットバック済みで道が広がっている場所と、これから後退が必要な場所とでは、買主の受け止め方が変わります。ご自身の家がどちらの状態か、売る前に把握しておくと話がスムーズです。

一方で、心配しすぎる必要はありません。2項道路は「建築基準法上の道路」なので、セットバックさえすれば建て替えができます。この点で、原則として建て替えができない再建築不可物件とは大きく事情が異なります。

「再建築不可」との違い

道路がらみの訳あり物件としてよく並べられる2つですが、深刻さはかなり違います。

セットバックが必要な家 再建築不可の家
接している道 2項道路(幅4m未満だが「道路とみなす」指定あり) 建築基準法上の道路に接していない・接道が2m未満など
建て替え セットバックすれば可能 原則できない(救済の仕組みは限定的)
売却への影響 有効面積が減るぶんを織り込んで評価 買い手・融資が大きく限られ、価格への影響も大きい

「うちは道が狭いから再建築不可かも…」と思い込んでいたら、実は2項道路で建て替え可能だった、というケースもあります。逆もあります。道の種類(道路種別)を確認することが、すべての出発点です。なお、都市計画法による建築制限(市街化調整区域)は、これらとはまた別の制度です。

また、前面の道が私道の場合は、道路の種類の話とは別に「通行・掘削の承諾」という論点が加わります。くわしくは私道に面した家は売れる?で整理しています。

明石市・加古川市の制度

狭い道の解消は行政も進めたいテーマなので、両市とも「狭あい道路」の整備に取り組んでいます。市によって進め方が違うのが面白いところです。

明石市——後退用地の「寄付・買取」制度

明石市は、幅員4m未満の道路に接して建物を建築する際の後退用地について、市への寄付もしくは買取による「狭あい道路整備事業」を実施しています(明石市「狭あい道路の整備」)。後退部分を自分で管理し続ける代わりに、市に引き取ってもらう選択肢があるということです。

加古川市——原則「中心から2.17m」・無償使用契約の方式

加古川市の狭あい道路整備では、対象となる市道について原則として道路の中心から2.17mの後退で運用されています(将来的に有効幅員4mを確保するためとされています)。後退用地は市と無償使用契約を結び、市道に編入されたあとは市が管理し、編入の翌年から固定資産税・都市計画税が非課税になります。一方、後退の際に撤去した門や塀への補償はありません(加古川市「狭あい道路の整備について」)。

また加古川市では、建築確認の際に、後退線内にある門・塀などを撤去する旨を図面に明記しないと確認済証が交付されない運用も示されています(加古川市「2項道路の後退線内に存在する建築物、及び門・塀等の取扱いについて」)。

このように、同じ「セットバック」でも市によって運用や制度が違います。細かい取り扱いは、物件のある市の窓口で確認するのが確実です。

高砂市では、後退した部分を市に寄附すると、測量・分筆・登記と、水道メーターや汚水公共桝の移設まで市が行います。詳しくは高砂市で相続した空き家を売る|狭い道の後退用地を市が引き取る制度で説明しています。

売る前に確認しておきたいこと

セットバックが関係しそうな家を売る前に、次の点を確認しておくと、査定も売却活動もスムーズになります。

確認すること どこで・どうやって
前面道路の種別(2項道路かどうか) 市の建築担当窓口で確認できる(明石市「建築基準法上の道路」の案内など)
後退済みか・未後退か 過去の建築時の資料(建築確認・検査の書類)や現地の状況から確認
道路の中心線・後退距離 市との協議や測量で確定する。売却前に厳密に測れなくても、まずは概要の把握でOK
門・塀の位置 後退線にかかっていると、買主の建て替え時に撤去が前提になる

専門的に聞こえますが、全部をご自身で調べる必要はありません。道路種別の確認や市への問い合わせは、不動産会社と一緒に進められます。古い家では、増築部分が登記されていない(未登記建物)といった別の論点が一緒に見つかることもあるので、まとめて整理してしまうのがおすすめです。

セットバック後に部分的に広がった住宅街の道路のイメージ

道が狭いために車を家まで入れられない場合の売り方は、車が入らない家の記事にまとめています。

現実的な売り方

セットバックが必要な家の売り方は、大きく2つです。

条件を整理して、仲介で売る

2項道路であること=建て替えできる土地であることを、後退距離の目安とあわせて示せば、一般の買主にも十分検討してもらえます。立地や価格しだいで、ふつうに売れていく物件も多くあります。

買取で売る

「境界や後退の話を整理する時間がない」「古家付きで手間をかけずに手放したい」という場合は、不動産会社が直接買い取る買取という選択肢もあります。スピードと手間の少なさを優先したいときに向いています。2つの違いは買取と仲介の違いで整理しています。

NextHomeにできること

NextHomeは、明石市・加古川市周辺で訳あり不動産の売却相談を専門にしています。前面道路が狭い家・古い住宅地の家のご相談では、道路種別の確認から、後退を踏まえた価格の整理、買取と仲介の比較までを一緒に進めます。「うちの前の道、これって2項道路なの?」という段階のご質問だけでも大丈夫です。写真だけでもお気軽にご相談ください。

相談の前に、用意しておくと良いもの

お手元にあると話が早いのは、次のようなものです。固定資産税の通知書、登記に関する書類(登記事項証明書など)、過去に建築・増築したときの書類(確認済証・検査済証など)、前面道路の様子が分かる写真。全部そろっていなくても大丈夫です。まずはお手元にあるものだけご用意ください。

ご確認ください

本記事は、セットバック(道路後退)と売却について一般的な情報をまとめたものです。道路種別の判定や後退距離、各市の制度の運用は、物件ごと・時期ごとに異なります。実際に進める際は、物件のある市の窓口や専門家への確認をあわせてご検討ください。断定的な保証をするものではありません。

よくある質問

セットバックしてからでないと売れませんか?

いいえ。セットバックは建て替えや新築のときに必要になるもので、今の状態のまま売却できます。買主に「建て替え時にはここまで後退が必要」という条件を正しく説明して売る形になります。

今住んでいる家は、すぐに下がらないといけないのですか?

いいえ。今建っている家はそのまま使い続けられます。後退が求められるのは、建て替え・新築などを行うタイミングです。

セットバックした部分の土地は、誰のものになりますか?

後退しても、土地の所有権は基本的にそのまま残ります。ただし、その部分に建物や門・塀は造れません。明石市の寄付・買取制度や、加古川市の無償使用契約のように、市に管理を委ねる仕組みもあります。

どれくらい下がる必要がありますか?

原則は道路の中心線から2mの線までです。道の反対側ががけや川の場合は、反対側から4mの線までとなります。市の整備事業では余裕を持った運用の場合もある(加古川市は原則中心から2.17m)ため、正確な距離は市との協議で確認します。

価格にはどのくらい影響しますか?

後退で有効に使える面積が減るぶん、その分を織り込んだ評価になるのが一般的です。ただ、後退距離や立地、後退済みかどうかで大きく変わるため、一律には言えません。個別の査定でご確認ください。

自分の家の前の道が2項道路かどうか、どうやって調べますか?

物件のある市の建築担当窓口で、道路種別を確認できます。不動産会社に相談すれば、調査の代行や同行も可能です。当社でも道路種別の確認からお手伝いしています。

明石・加古川の訳あり不動産、まずはご相談ください

「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。