確定測量と現況測量は何が違う?費用の目安と、隣の方が分からないときの進め方
土地を売ることになり、「測量が必要です」と言われた。見積りを取ろうとしたものの、確定測量と現況測量のどちらを頼めばよいのか分からない。そういうご相談をいただきます。
先にお伝えしておくと、「確定測量」も「現況測量」も、法律に出てくる言葉ではありません。取引の場で使われている呼び分けですので、どこまでの作業を指すかは決まっていません。
この記事では、二つの測量が実際に何をするものなのか、公式に出ている費用の目安、そして立会いが進まなくなったときにどうなるかを整理しました。
「確定測量」「現況測量」は、法律の言葉ではありません
法律に出てくるのは「地積測量図」「筆界」「筆界特定」です。測量の種類を「確定」「現況」と分ける条文はありません。

土地家屋調査士の全国組織である日本土地家屋調査士会連合会が公表している報酬ガイドにも、この二つの言葉は出てきません。業務の名前として載っているのは「土地地積更正登記」「土地分筆登記」「土地地目変更登記」「土地合筆登記」の4つです。
当社では次のように使い分けています。
| 現況測量 | 土地家屋調査士が公図や過去の図面を確認したうえで、境界はおそらくここだろうという見当で測るものです。隣の土地の所有者の立会いはありません |
| 確定測量 | 隣の土地の所有者に立ち会っていただき、道路や水路との境も含めてすべての境界を確定させます。筆界確認書や、道路の管理者との協定書まで作ります |
| 中間の形 | 買主が、隣の土地との境まで分かればよいという場合もあります。そのときは道路との境を省きます |
同じ「確定測量」という言葉でも、道路との境まで含むかどうかで、期間も費用もかなり変わります。ですので、頼むときに、どこまでを含めるかを決めて土地家屋調査士に伝えます。当社がお手伝いする場合は、そのやり取りを当社がいたします。
なお、この一連の手続きは土地家屋調査士に任せることになります。測量そのものに加えて、隣接地の調査、立会いの日程調整、役所への申請と図面の作成まで含みますので、売主さまがご自分で進めるものではございません。
境界を確定させる相手は、隣の方と、道路の管理者です
ひとつは隣の土地の所有者、もうひとつは前の道や水路を管理しているところです。相手が違うので、手続きも別々に進みます。

隣の土地の所有者との間で作るのが筆界確認書です。法務省はこれを「筆界確認情報」と呼び、令和4年4月14日付けの通達で「相互に隣接する土地の所有権の登記名義人等が現地立会い等によって土地の筆界を確認し、その認識が一致したこと及びその地点を特定して示すことを内容とする情報」と定義しています。
もうひとつが、道路や水路との境です。ここで気をつけていただきたいのが、相手は市とは限らないことです。市道なら市ですが、県道なら兵庫県、国道なら国や県が管理しています。前の道がどれなのかで、申請先が変わります。
| 明石市道 | 道路境界明示。都市局 道路安全室 道路総務課。手数料は1申請につき1,500円 |
| 明石の期間 | 手引きには「必要な書類が揃っていれば、約3週間で現地に伺います」「明示書は必要書類が揃ってから、10日程度(土日祝除く)で交付します」と書かれています |
| 加古川市道 | 官民有地境界協定。建設部 土木総務課 調査係。市道・里道・水路(市有)が対象です |
| 県道・国道 | 兵庫県 加古川土木事務所 管理第1課。明石市・加古川市・高砂市・稲美町・播磨町を所管しています |
| 済みの分 | 過去に済ませていれば、あらためて測り直さずに証明書を請求できます。明石市は1件につき300円で、交付まで約2週間です |
加古川土木事務所は「県が管理している国道、県道に隣接する土地の所有者からの申請に基づき、道路との境界確定に関する事務も行っています」と案内しています。手続きの名前は加古川市と同じ「官民有地境界協定」ですが、出す先が違います。来庁の前に電話で予約するようにとも書かれています。
明石市の証明書の案内には、兵庫県加古川土木事務所で協定を行っているものは明石市では証明書を交付できないと書かれています。同じ土地でも、接している道によって窓口が分かれます。
明石市は令和8年4月1日から電子申請での受付になりました(当面は紙との併用も可)。加古川市の要綱には、係争中の土地に係る申請は受理しないと定められています。
前の道が里道の場合、明石市では隣接地の所有者に加えて、向かい側の土地の所有者と地元自治会の同意が必要になります(現況がはっきりしている幅員4メートル以上の道路等を除く)。里道や水路が絡む土地の進め方は里道・水路に接する家は売れる?払い下げと占用の進め方、前の道が私道の場合は私道に面した家は売れる?通行・掘削承諾と売却の進め方に書いています。
先に法務局を見ます。地積測量図があるかどうかで話が変わります
測量を頼む前に確かめるのが、その土地の地積測量図が法務局にあるかどうかです。あれば、測る範囲が小さくなることがあります。
地積測量図に何を書くかは不動産登記規則77条で決まっています。地番、地積とその求積方法、筆界点間の距離、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値、境界標があるときはその表示、そして測量の年月日。縮尺は250分の1と定められています。
大事なのは、どの時期の図面かで中身が違うことです。法務省の指針では、現地に境界を復元できることが明確といえるものとして、測量成果による14条1項地図、平成17年3月7日以降の地積測量図、筆界特定図面が挙げられています。座標値が入っているかどうかが分かれ目です。
取り方は公図や謄本と同じで、法務局の手数料は書面請求で1通500円(令和7年4月1日から)。土地1筆につき1通です。図面の見方は公図の見方|「地図」と「地図に準ずる図面」の違い、現地と合わない理由、名義や抵当権の見方は登記簿謄本の見方|表題部・甲区・乙区に何が書いてあるかにまとめています。
立会いが進まなくなるのは、こういうときです
確定測量で時間がかかるのは、測ること自体ではなく、隣の方との立会いです。当社がお預かりした土地で起きたのは、次のような場面でした。
| 相続未了 | 隣の土地の所有者が亡くなっていて、相続人がどなたなのか分からない。戸籍をたどるところから始まります |
| 立会い拒否 | 隣の方の所在は分かっているものの、立会いに応じていただけない |
| 住所が古い | 登記に載っている所有者の住所が古いまま。手紙を出しても届きません |
三つ目は、思っていらっしゃるよりよくあります。登記の名義も住所も、昔のまま直されていない土地はたくさんあります。登記上の住所が隣の土地のままなのに、そこにはもう誰も住んでいない、ということも珍しくありません。

相続登記は令和6年4月1日から、住所や氏名を変えたときの登記は令和8年4月1日から義務になりました。ただし令和8年4月1日より前の住所変更で登記がされていないものは、令和10年3月末までに登記すればよいとされています。それまでのあいだは、古い住所のままの土地が残ります。手続きは相続登記とは?義務化の期限・費用・手続きと不動産の住所変更登記・氏名変更登記が義務化|自分で申請した実体験と手順にまとめています。
相続人の方を探すのも、土地家屋調査士に依頼します。売主さまにお願いすることはありません。
相続人全員の署名がなくてよい場合があります
筆界確認書は、法律で決められた添付書類ではありません。それでも多くの法務局が事務取扱要領で提出を求めていたため、実務では相続人全員の署名が必要と受け止められてきました。
ここが変わりました。法務省は令和4年4月14日に通達を出し、令和4年10月3日から全国すべての法務局で新しい運用が始まっています。相続登記が済んでいない土地が増え、筆界確認書が取れないために登記が進まないことが、取引の妨げになっていたためです。
変わったのは二つです。ひとつは、現地に境界を復元できる地図や地積測量図があれば、そもそも筆界確認書を求めないこと。隣の所有者が分かっている場合でも同じです。
もうひとつが、相続人全員でなくてよい場合が示されたことです。
| 占有あり | 相続人の一部が、外から見て分かる形でその土地を使っているとき。その方の分で足ります。ほかの相続人の所在が分かっているかどうかは問われません |
| 所在不明 | 使っている方がおらず、戸籍や住民票をたどっても一部の方の所在が分からないとき。分かった方のうち、応じていただけた方の分で足ります |
| 負担過大 | 人数が相当数で各地に散らばっている、国外にお住まいで帰国が難しいなど、全員に求めることが重すぎるとき |
所在を探す方法についても指針に書かれています。住民票や戸籍の附票、戸籍を集めるのが基本で、お住まいかどうかは立会い依頼の文書を郵送して、届くかどうかで判断してよいとされています。近所の方への聞き取りは必須ではありません。
立会いを断られた場合についても定めがあります。合理的な理由なく筆界の確認を拒む方は、所在が分からない方と同じように扱ってよいと指針に書かれています。
署名についても変わりました。筆界確認書に署名があり、登記官がそれを相当と認めれば、印鑑証明書は原則として求められず、押印も不要です。
ただし、これは登記官が判断することです。境界標が動いた疑いがあるなど、個別の事情があれば筆界確認書が必要になる場合もあると指針に書かれています。法務省も一般の方向けのページで、土地家屋調査士か管轄の法務局に相談するよう案内しています。相続人の方と連絡が取れない場合の進め方は相続人と連絡が取れない実家は売れる?行方不明・音信不通のときの進め方にまとめています。
費用の目安。公式に出ている数字があります
土地家屋調査士の報酬は2003年(平成15年)8月1日に自由化されました。それまで法務大臣の認可だった報酬規定が廃止され、作業にかかる時間などをもとに事務所ごとに決められるようになっています。ですので、全国一律の決まった額はありません。
そのうえで、日本土地家屋調査士会連合会が3年に一度、会員にアンケートを取って報酬ガイドとして公表しています。最新は令和7年度版(2025年度アンケート)で、兵庫県会の数字まで公表されています。
| 地積更正 | 兵庫県会の中央値50万円(全国は42万1,000円)。税抜です |
| 分筆登記 | 兵庫県会の中央値52万9,000円(全国は46万1,415円)。税抜です |
| 前提の例 | 地積更正は、宅地(市街地)で更正後180平方メートル、隣接地6筆の調査、道路と隣接民有地の筆界確認ありという条件での数字です |
| 含むもの | 調査、測量、登記申請の代理、書類の作成。測量の費用は報酬に含まれています |
| 別のもの | 境界杭の費用、交通費、収入印紙代、通信費、消費税。杭は種類と本数で変わります |
ガイド自体にも「現場周辺の状況や隣地との関係、相続登記が終わっていない場合など、さまざまな条件によって必要な費用、作業時間が異なり」と但し書きがあります。数字はあくまで目安で、隣接地が6筆より多ければその分増えます。
県の手続きについては、兵庫県のページに協定に必要な測量や地図の作成等の費用は申請者負担と書かれています。
話がつかないときは法務局に申し立てられます。ただし半年以上かかります
隣の方と境界の認識が食い違って動かなくなったときの制度が、筆界特定です。
筆界は、不動産登記法123条で「一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線」と定められています。法務局はQ&Aで、筆界は所有者同士の合意などによって変更することができないと説明しています。話し合いで動かせる線ではありません。
筆界特定は、その筆界が現地のどこにあるのかを筆界特定登記官が調べて明らかにする手続きです。新しく境界を決める制度ではありません。
知っておいていただきたいのが、期間です。不動産登記法130条は、各法務局に「筆界特定の申請がされてから筆界特定登記官が筆界特定をするまでに通常要すべき標準的な期間」を定めて公にしておくよう求めています。この標準処理期間を公表している法務局の数字は、6か月から9か月です。
| 名古屋 | 名古屋法務局は9か月(令和5年4月3日受付分から) |
| 福岡 | 福岡法務局は9か月 |
| 徳島 | 徳島地方法務局は6か月 |
| 神戸 | 神戸地方法務局は、ホームページでは公表していません。法律は「備付けその他の適当な方法」でよいとしていますので、管轄の筆界特定室で確かめられます |
しかも各法務局は「関係する土地所有者の人数や事案の複雑・困難性により標準処理期間を超える場合があります」と添えています。標準で半年から9か月、事案によってはそれ以上。売り出しの予定に組み込める長さではありませんので、売却の話とは切り離して考えることになります。
費用も申立てだけでは済みません。申請手数料は、申請する土地と相手方の土地の固定資産課税台帳の価格を足して2で割り、それに0.05を掛けた額をもとに計算します。法務局が挙げている例では、2つの土地の価格の合計が4,000万円のとき、申請手数料は8,000円です。ただし測量の費用は別で、申請した方の負担になります(不動産登記法146条)。
もう一つ、相手の方が立ち会わなくても、測量や実地調査ができなくなるわけではないと法務局が説明しています。また、筆界特定は行政処分ではなく公的機関による判断の証明にとどまるため、結果に不満があれば裁判を起こすこともできます。
この申立てを代理できるのは、土地家屋調査士法3条で定められた土地家屋調査士のほか、弁護士と認定司法書士(一定額以下の場合)です。
当社の考え方
本当のところを申し上げると、当社はすべての土地で確定測量まで済ませてお渡ししたいと考えています。境界がはっきりしていれば、売主さまも買主も、引き渡したあとに困りません。
それでも全部の土地でしているわけではありません。理由は費用です。前の章の数字のとおり、兵庫県会の中央値で50万円前後。売値が数百万円の土地では、この金額が重くのしかかります。測量にかける費用と売値が見合うかどうかを、売り出す前にご相談しています。
当社が買い取る場合は、境界が決まっていない状態のままお引き受けします。測量は買い取ったあとに当社で行い、手を入れて売り出すときには確定測量まで済ませることが大半です。売主さまに測量を先に済ませていただく必要はありません。
お伝えしたいのは、順番です。売り方を先に決めて、測量はそのあとに発注します。買取で進むなら、確定測量をしないまま売買が済むこともあります。仲介でも、買主の考え方によって必要な範囲は変わります。買取と仲介の違いは買取と仲介どっちが得?金額・期間・手間で比べる選び方で比べています。
境界標が見当たらない、図面が古いという土地の売り方は境界が分からない家・土地は売れる?測量する前にに書いています。
当社がお手伝いできること
買取の金額と、仲介で売り出す場合の価格の両方をご提示いたします。
- 法務局にどの図面が備え付けられているかを確認し、測量がどこまで必要になりそうかをご説明いたします
- 前の道が市の道路か県の道路かを調べ、過去に境界の協定が済んでいるかを確認いたします
- 測量にかける費用と売り出す価格の見合いを、一緒に考えます
- 土地家屋調査士をご紹介いたします。どこまでを含めて見積るかは、当社から調査士にお伝えします
- 遠方にお住まいの方は、お電話と写真でご相談いただけます。現地は当社が見に行きます
ご相談の際、次のものがお手元にあると話が早いです。おそろいでなくても構いません。
- 固定資産税の納税通知書
- 土地の登記事項証明書(謄本)、または権利証(登記識別情報)
- 測量図、境界の確認書
- 過去に市や県と交わした協定書や明示書
- 建築確認の書類(確認済証・検査済証)
土地の形が整っていない場合の売り方は狭い土地・変形地は売れる?旗竿地・三角地の買取と、7つの売り方、建物が登記されていない場合は未登記の建物がある家は売れる?「登記していない家」「増築未登記」の売り方にまとめています。まだ売ると決めていない、査定だけ、という段階のご相談でも構いません。
- 無料査定・売却のご相談フォーム(入力1分)
- お写真を送るだけのLINE相談もお受けしています
ご確認ください
この記事は2026年9月時点の公表資料をもとにしています。土地家屋調査士の報酬は事務所ごとに決められていますので、実際の金額はお見積りでご確認ください。市や県の手続きの手数料や取扱いは変わることがあります。登記の取扱いは登記官が個別に判断しますので、この記事のとおりになるとは限りません。記事中の画像はイメージです。
よくあるご質問
現況測量だけで土地を売ることはできますか?
買主が了解していれば、境界を確定させないまま売買契約を結ぶことはできます。当社が買い取る場合も、現況のままお預かりすることがあります。ただし仲介で広く買主を探す場合、購入を検討される方から確定測量を求められることは珍しくありません。どちらで進めるかは、売り方が決まってから決めます。
確定測量は、道路との境まで含みますか?
決まった定義がありません。法律の言葉ではないためです。当社は道路や水路との境まで含めたものを確定測量と呼んでいますが、隣の土地との境だけを指して使われることもあります。ですので、土地家屋調査士に頼むときに、どこまでを含めるかを決めて伝えます。
前の道が県道でも、市に申請するのですか?
いいえ。県道や国道に接している場合は、兵庫県の土木事務所が窓口です。明石市・加古川市・高砂市・稲美町・播磨町は加古川土木事務所が所管しています。明石市の案内にも、県の事務所で協定を行ったものは市では証明書を交付できないと書かれています。
隣の方が立会いを断ったら、測量はできませんか?
登記の場面では、合理的な理由なく筆界の確認を拒む方は、所在が分からない方と同じように扱ってよいと法務省の指針に書かれています。筆界特定を申し立てた場合も、相手の方が立ち会わなかったとしても、測量や実地調査ができなくなるものではないと法務局が説明しています。
相続人全員の署名がないと、筆界確認書は作れませんか?
令和4年10月3日から運用が変わりました。相続人の一部が外から見て分かる形でその土地を使っている場合はその方の分で足りるなど、全員でなくてよい場合が指針で示されています。判断するのは登記官ですので、土地家屋調査士か管轄の法務局にご相談ください。
地積測量図があれば、測量は要りませんか?
図面の中身によります。平成17年3月7日以降の地積測量図には筆界点の座標値が入っていますので、現地に境界を復元できることが明確なものとして法務省の指針に挙げられています。それより前の図面は、座標値がなく現地と合わないこともあります。まず、法務局に何が備え付けられているかを確かめるところからです。
「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。
