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地域別売却ガイド

神戸市須磨区で相続した空き家を売る|ニュータウンの団地と、坂の上の家で確認すること

公開日:2026年9月25日 更新日:2026年10月10日

須磨区の実家を相続したものの、住む人がいないまま空き家になっている。古い団地だから、坂の上だからと言われて、売れるのか心配になる。そういうご相談をいただきます。

須磨区は、南の市街地と北の須磨ニュータウンで、建物も土地の形も大きく違います。この記事では、須磨区の空き家を売るときに関わってくる制度と、売り出す前に当社で確認することを整理しました。

先に一つお伝えしておきます。4階建て以上でエレベーターのない住宅には、買って住みかえる方に30万円の補助があります。須磨区のご相談で多い、あの建物のことです。

須磨区の家を売る前に、当社が確認すること

売り出す前に、当社で次のようなことを調べます。須磨区では、敷地の高低差をとくに丁寧に見ます。

高低差 敷地内と周囲に1メートルを超える高低差があるか。あれば、がけ条例の検討が必要になります
擁壁 擁壁の高さと状態。許可を受けて造られたものかどうか。水抜き穴やひび割れの有無
区域指定 土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っていないか。急傾斜地崩壊危険区域はどうか
用途地域 第1種低層住居専用地域かどうか。特別用途地区の指定があるかどうかで、建て方が変わります
前面道路 建築基準法上の道路に接しているか。幅員と、後退がいるかどうか。車を停められるか
築年と構造 建築確認の年月日。昭和56年6月1日より前か後かで、買う方が使える補助が変わります
建物の傷み 雨漏りの跡、屋根と外壁の傷み、床下の状態。空いている期間が長い家ほど、見る箇所が増えます

ここに挙げたのは当社が調べることであって、当てはまらないと買い取れない、という条件ではありません。

須磨ニュータウンは6団地。いちばん古い北須磨は入居開始から59年です

神戸市のページによると、須磨ニュータウンは高倉台・横尾・名谷・落合・白川台・北須磨の6団地からなり、計画人口113,000人、面積900ヘクタールの大規模なニュータウンです。昭和30年代に、山から土砂を採って、その跡地を住宅地にしました。採った土砂はベルトコンベヤで須磨海岸へ運ばれ、神戸港沖の埋立に使われています。「山、海へ行く」と呼ばれた神戸のやり方です。

入居が始まった年は、団地によってかなり違います。

北須磨 昭和42年(1967年)入居開始。ニュータウンの中でいちばん早く、59年が経っています
白川台 昭和45年(1970年)入居開始。同じ年に緑ヶ丘団地も入居が始まりました
高倉台 昭和48年(1973年)入居開始。前年の昭和47年に第1次の宅地分譲
名谷 昭和50年(1975年)入居開始。同じ年に若草町も入居開始
落合 昭和53年(1978年)入居開始
横尾 昭和54年(1979年)入居開始。東白川台は昭和58年(1983年)

昭和52年に市営地下鉄が名谷から新長田まで開通し、同じ年に北須磨支所が開設されています。

この年代が大事なのは、昭和56年(1981年)6月1日より前か後かで、買う方が使える補助の条件が変わるからです。次の章で書きます。

垂水区の多聞台などの団地や、坂の上の家については、神戸市垂水区で相続した空き家を売る|塩屋・多聞台・舞多聞の家で確認することにまとめています。

4階建て以上でエレベーターのない住宅は、買う方に30万円の補助があります

神戸市にはこうべぐらし応援補助金「住みかえーる」という制度があります。そのうちの「団地ぐらし」は、4階建て以上の、エレベーターのない住宅に住みかえた方に30万円を出すものです。親世帯と近居または同居になる場合は35万円になります。

須磨ニュータウンには、この条件に当てはまる中層の住宅がたくさんあります。エレベーターがないことは売るときに不利に働きがちですが、この制度では、それが対象になる理由そのものです。

エレベーターのない集合住宅の階段室(イメージ)
建物 原則、地上4階建て以上でエレベーターのない住宅。1階から3階に入居する場合も対象です
対象外 エレベーターのある別棟から渡り廊下などで行き来できる場合。建物にエレベーターがあるが入居する階に停止しない場合
契約日 取得の場合は、2025年10月1日以降に売買契約を締結した住宅。夫婦いずれかの名義で取得すること
築年 1981年6月1日以降の着工。ただし区分所有の共同住宅の一室を買う場合は、それ以前の着工でも対象です
世帯 若年夫婦世帯(住みかえ日時点で夫婦の年齢の合計が90歳以下)、または子育て世帯(2026年度に未就学児がいる世帯。出産予定を含む)
近居とは 35万円になる「近居」は、同一小学校区内または直線距離で2km未満。住みかえる前から近居だった場合は対象になりません
そのほか 最低居住面積水準以上であること。市営住宅・県営住宅は対象外。2年以上続けて神戸市内に住む意思があること
受付 2026年6月1日から、最長で2027年3月31日まで。予算の上限に達した時点で終了します

注目していただきたいのが築年の行です。区分所有の共同住宅、つまりマンションや団地の一室を買う場合は、1981年5月31日以前に着工した建物でも対象になります。昭和40年代から50年代に建った須磨ニュータウンの住宅が、ここに当てはまります。

もうひとつ、予算の上限です。神戸市のページには、昨年度は3月8日で受付が終了したこと、2026年7月末時点の申請額が予算の16パーセントであることが書かれています。年度の後半になるほど、残りは少なくなります。

申請するのは買われる方で、電子申請のe-KOBEからのみ受け付けています。売主さまが申請する制度ではありません。ただ、売り出すときに「この部屋は団地ぐらしの対象になります」とお伝えできるかどうかは、買われる方の判断に関わってきます。

もうひとつ。この「団地ぐらし」と、次の章の「親・子世帯の近居・同居」は、同じ年度に両方を受けることができません。どちらか一方です。団地に住みかえて親世帯と近居・同居になる場合は、団地ぐらしの35万円のほうが大きくなります。

戸建てを買う方には、別のメニューがあります

「住みかえーる」にはもうひとつ、親・子世帯の近居・同居というメニューがあります。こちらは住宅の種類を団地や共同住宅に限っていませんので、戸建てを買う方も対象になり得ます。

補助額は10万円。子世帯が市外から転入する場合は20万円です。条件は、住みかえによって親世帯と同居または近居になること。近居は「同一小学校区内または直線距離で2km未満」と決められています。住みかえる前からすでに近居だった場合は対象になりません。

受付は2026年6月1日から最長で2027年3月31日まで。こちらも予算の上限に達した時点で終了し、昨年度は2月16日で終わっています。最低居住面積水準以上であること、市営住宅・県営住宅は対象外であること、2年以上続けて神戸市内に住む意思があることは、団地ぐらしと同じです。

ここで築年が効いてきます。1981年6月1日以降に着工した住宅はそのまま対象ですが、それより前に着工した住宅は、耐震診断で耐震性が確認されるか、耐震改修で耐震性が確保されていることが必要です。区分所有の共同住宅にある「それ以前でも対象」という緩和は、戸建てには適用されません。

ですので、須磨区の戸建てを売り出すときは、建築確認の年月日を先に確かめます。確認済証や検査済証がお手元にあれば、そこに書かれています。

気をつけていただきたいのが、団地の入居が始まった年と、その家の建築確認の年月日は別だという点です。宅地の分譲は入居開始のあとも続きますので、同じ団地の中でも家によって違います。書類がお手元になくても、ご相談いただけます。

敷地に1メートルを超える高低差があると、建て方が変わります

須磨区は坂の多い区です。ここで関わってくるのが、通称がけ条例と呼ばれるもので、根拠は神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例20条です。

神戸市のページには、敷地内および周囲に1メートルを超える高低差がある敷地で建築物を計画する際は、用途や規模に関わらず検討が必要だと書かれています。届出は要りません。確認申請の中で審査されます。

ここから先は新しく建てるときの話です。いま建っている家をそのまま売る場合に、この検討が求められるわけではありません。ただ、買われる方が建て替えを考えている場合には関わってきますので、売り出す前に調べておきます。

擁壁の上に建つ2階建ての住宅(イメージ)
対象 がけの角度が30度を超え、かつ高低差が1メートルを超える場合
がけの上 がけの下端から30度の角度をなす面の上方に建物があると対象。建物の基礎を安息角30度以下に根入れします
がけの下 がけの中心から建物までの水平距離が高低差の1.5倍未満だと対象。鉄筋コンクリート造にするか、擁壁を設けます
上の免除 宅地造成の許可などを受けた擁壁による地盤に、2階建て以下の木造または軽量鉄骨造を建てるとき
下の免除 許可を受けた擁壁のとき。がけの高さが2メートル以下のとき。居室のない建物のときなど

問題になりやすいのが、「許可を受けた擁壁かどうか」を確かめる作業です。神戸市のページには、造成の履歴を調べる窓口が3つ挙げられています。宅地造成及び特定盛土等規制法の許可は建設局 森林・防災部 防災課、都市計画法29条の許可は都市局 都市計画課、確認申請と検査済証は建築住宅局 建築指導部 建築調整課です。

そのうえで、市はこう書いています。防災課は許可と検査済の番号・日付・事業者名・地番を台帳で管理しているものの図面などはなく、「該当擁壁が宅造擁壁と必ずしも断定できるものではありません」。開発区域の中にあっても、開発擁壁かどうか特定できない場合があるとも書かれています。

最終的に判断するのは設計者です。設計者が造成の履歴、擁壁の外見、断面、水抜き穴の状況などを調べ、確認申請に先立って判断します。外見上の支障や異常があれば、造り替えか適切な改善を検討しなければならないとされています。

ご自分で様子を見ておきたい場合は、国土交通省が我が家の擁壁チェックシート(案)を公開しています。境界標が見当たらない、図面が古いという場合の進め方は境界が分からない家・土地は売れる?測量する前に、測量の中身と費用は確定測量と現況測量は何が違う?費用の目安と、隣の方が分からないときの進め方にまとめています。

土砂災害警戒区域を指定しているのは兵庫県です

坂の話と混ざりやすいのですが、土砂災害警戒区域はがけ条例とは別の制度で、指定しているのは神戸市ではなく兵庫県です。根拠は2001年4月に施行された土砂災害防止法です。

急傾斜地の崩壊、つまりがけ崩れの警戒区域(いわゆるイエロー)は、次のように決められています。

がけ本体 傾斜度が30度以上で、高さが5メートル以上の区域
がけの上 急傾斜地の上端から水平距離10メートル以内の区域
がけの下 急傾斜地の下端から、がけの高さの2倍(50メートルを超える場合は50メートル)以内の区域
特別警戒 イエローのうち、土石等の移動により建物に損壊が生じ、住民などの生命または身体に著しい危害が生じる恐れのある区域

神戸市のページには、神戸市内には地すべりの特別警戒区域の指定はないことも書かれています。区域の詳しい情報は兵庫県のページで案内されています。

低層住宅地では、建て方によって建ぺい率が変わります

2023年6月1日から、神戸市はすまい・まちなみ形成地区という特別用途地区の運用を始めています。郊外のニュータウンなどで、バリアフリー住宅や二世帯住宅、在宅勤務に対応した間取りといった建て替えを実現するための仕組みです。

対象は、第1種(または第2種)低層住居専用地域で、容積率100パーセント・建ぺい率50パーセントが指定されている区域の一部です。制限は二段構えになっています。

後退あり 戸建て住宅等で、外壁後退を1.0メートル以上確保して建てる場合は、容積率100パーセント・建ぺい率50パーセントを上限に建てられます
後退なし それ以外の建て方をする場合は、容積率80パーセント・建ぺい率40パーセントが上限になります

根拠は神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例18条の6から18条の8ほか。確認申請以外の特別な手続きは要りません。

お持ちの土地が指定区域に入っているかどうかは、神戸市情報マップで調べます。神戸市のページには団地名や区名の一覧がありませんので、物件ごとに確認することになります。区域については都市局都市計画課、制限の内容については建築住宅局建築指導部建築安全課が窓口です。

名谷の駅前は新しくなりました

売り出すときに買われる方へお伝えできる材料として、名谷の駅前の状況があります。神戸市は名谷活性化プラン〜躍動する多世代共生のまちへ〜を進めていて、2019年に始まった「リノベーション・神戸」の一環と位置づけられています。

  • 駅ビルtete(テテ)名谷は、2023年6月30日に北ゾーンが先行開業し、2025年3月18日に南ゾーンが開業して全館グランドオープン。1階と2階に18の店舗が入っています
  • 須磨パティオは2024年8月から段階的にリニューアルし、2025年3月18日にリニューアルグランドオープン。フードコート、シェアキッチン、屋上ひろばが新しくできました
  • 北須磨支所が2024年8月13日に移転し、おやこふらっとひろば名谷が新設されました
  • 駅南側のロータリーは2025年度にオープン済み。落合中央公園とバス停上屋は2026年度以降にリニューアルの予定です

古い家を売るときに、まちの話はあまりされません。ただ、買われる方が見るのは建物だけではありません。

神戸市の空き家の補助制度と、3,000万円控除の確認書

解体や隣地との統合に使える補助、3,000万円の特別控除に必要な確認書の窓口は、神戸市内であれば区が違っても同じです。老朽空家等解体補助制度(最大60万円)、隣地統合補助(上限50万円)、空き家地域利用補助(最大200万円)と、確認書の発行に2週間かかることは神戸市西区で相続した空き家を売る|神戸市の補助制度と、売る前に調べることに詳しく書いていますので、そちらをご覧ください。

控除そのものの要件は空き家の3,000万円控除とは?更地にしたら使えないは誤解にまとめています。

須磨区での当社の関わり

当社は須磨区全般で、仲介での売買、買取、管理のお預かり、自社所有と、いずれの形でも物件を扱っています。ニュータウン側も、南の市街地も同じです。

斜面にある家も、普通に売れています。坂だから、階段だからという理由で行き詰まったことはありません。前面道路に車が入らない家の売り方は車が入らない家は売れる?月極の車庫証明と、停められるようにする方法にまとめています。

坂道で担当者と売主が敷地を確認している場面(イメージ)

名義が亡くなった方のままでも、相続人の方が売主として売買契約を結ぶことはできます。できないのは決済(所有権の移転登記)ですので、決済までに相続登記を済ませておく必要があります。手続きと費用は相続登記とは?義務化の期限・費用・手続きに書いています。

当社がお手伝いできること

買取の金額と、仲介で売り出す場合の価格の両方をご提示いたします。

  • 敷地の高低差と擁壁を見て、がけ条例の検討が要りそうかをご説明いたします
  • 土砂災害警戒区域に入っていないか、用途地域と特別用途地区の指定はどうかを調べます
  • 建築確認の年月日を確かめ、買われる方が「住みかえーる」を使えそうかを整理いたします
  • 荷物が片付いていなくても大丈夫です。そのまま拝見いたします
  • 遠方にお住まいの方は、お電話と写真でご相談いただけます。現地は当社が見に行きます

ご相談の際、次のものがお手元にあると話が早いです。おそろいでなくても構いません。

  • 固定資産税の納税通知書
  • 建物と土地の登記事項証明書(謄本)、または権利証(登記識別情報)
  • 建築確認の書類(確認済証・検査済証)
  • 測量図、境界の確認書
  • 擁壁がある場合は、造成や工作物に関する書類

荷物が残ったままの家の進め方は荷物が残ったままの家は売れる?残置物の処分費と売り方の選択肢、解体まで含めて考えたい場合の費用の目安は木造住宅の解体費用はいくら?30坪の目安と条件に、更地にするか古い家を残すかの分かれ目は古家付き土地として売る?更地にする?判断の分かれ目に書いています。買取と仲介の違いは買取と仲介どっちが得?金額・期間・手間で比べる選び方で比べています。まだ売ると決めていない、査定だけ、という段階のご相談でも構いません。

ご確認ください

この記事は2026年9月時点の公表資料をもとにしています。補助制度は予算の上限に達すると受付が終了しますので、実際に使えるかどうかは神戸市のページでご確認ください。区域の指定や用途地域は変わることがあります。がけ条例の適用は設計者が個別に判断しますので、この記事のとおりになるとは限りません。記事中の画像はイメージです。

よくあるご質問

エレベーターのない4階の部屋を相続しました。買う方はいますか?

神戸市の「住みかえーる(団地ぐらし)」は、4階建て以上でエレベーターのない住宅に住みかえた方に30万円を出す制度です。エレベーターがないことが、対象になる理由そのものになっています。1階から3階に入居する場合も対象です。売り出すときに、この制度の対象になることをお伝えできます。

昭和40年代に建った団地の一室です。古すぎて補助の対象外ではありませんか?

「住みかえーる」の耐震の条件は1981年6月1日以降の着工ですが、区分所有の共同住宅の一室を購入または賃貸する場合は、それ以前に着工した建物も対象とされています。分譲された団地やマンションの一室であれば、この扱いになります。

坂の上の戸建てです。がけ条例でどうなりますか?

敷地内や周囲に1メートルを超える高低差があれば検討の対象になります。がけの角度が30度を超えるかどうか、建物ががけの上か下かで、求められる措置が変わります。判断するのは確認申請を出す設計者ですので、売り出す前に当社で高低差と擁壁の状態を確認し、調べ方をご説明いたします。

擁壁が古いのですが、造り替えないと売れませんか?

建て替えの計画が出てきたときに、設計者が擁壁の状態を調べて判断します。外見上の支障や異常があれば、造り替えか適切な改善を検討することになると神戸市のページに書かれています。まず、擁壁の高さと状態、造成の履歴を当社で確認いたします。

土砂災害警戒区域に入っているか、どこで分かりますか?

指定しているのは兵庫県ですので、詳しい区域は兵庫県のページで案内されています。急傾斜地の崩壊の警戒区域は、傾斜度30度以上で高さ5メートル以上のがけと、その上端から水平距離10メートル以内、下端からがけの高さの2倍以内が目安です。当社でも売り出す前に確認いたします。

名義がまだ親のままです。この状態でも相談できますか?

ご相談いただけます。相続人の方が売主として売買契約を結ぶことはできますので、決済までに相続登記を済ませる形になります。司法書士をご紹介いたしますので、どなたに頼めばよいか分からないという段階でも構いません。

明石・加古川の訳あり不動産、まずはご相談ください

「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。