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相談事例・ケース別解説

転勤が決まった。持ち家は売る?貸す?空き家のまま?

公開日:2026年7月27日 更新日:2026年8月3日

辞令が出た。赴任先は遠方、引っ越しまで1〜2ヶ月。仕事の引き継ぎと新生活の準備に追われるなかで、いちばん重い宿題が残ります。この家、どうしよう——。買ったばかりの家でも、長く住んだ家でも、転勤が決まった瞬間から「売る・貸す・空き家のまま持つ」の三択が目の前に来ます。

どれが正解かは、ご家族の予定と物件によって変わります。ただ、それぞれの選択肢に「向いている条件」と「見落としやすい落とし穴」があるのは共通です。この記事では、三つの選択肢を順に見比べて、判断の軸になる税金とローンの話まで整理します。

選択肢は3つ。まず全体を眺める

選択肢 向いているケースと注意点
売る 戻る予定がない・未定のとき。維持の負担が消えて身軽。税金の特例には期限がある
貸す 数年で戻る予定があるとき。家賃が入るが「大家業」が始まる。ローンは金融機関に相談
空き家のまま 短期で戻ることが確実なとき。管理しないと家は傷む。維持費は住まなくてもかかる

検討に入る前に、ひとつだけ。勤務先によっては、留守宅を会社が借り上げる制度や、赴任中の住まいに関する補助が用意されていることがあります。これがあるかどうかで三択の前提が変わるので、最初に人事へ確認しておくと無駄がありません。

そのうえで、ひとつずつ中身を見ていきます。

売る——戻る予定がないなら、いちばん身軽

転勤先での生活が長くなりそう、戻るかどうか分からない。そういう場合は、売却を軸に考えるのが結局いちばんすっきりします。まとまった資金になり、固定資産税や管理の心配が消え、赴任先の生活に集中できます。離れた土地から空き家を気にかけ続ける負担は、住んでみると想像以上です。

気になるのは「転勤までに売り切れるのか」だと思います。仲介で買い手を探す場合、売れるまでの期間は読みにくく、引っ越し後も内覧対応などのやり取りが続くことがあります。一方、当社のような会社が直接買い取る形なら、日程が決めやすく、引っ越し前に引き渡しまで終えることもできます。価格は仲介より下がるので、時間と金額のどちらを優先するかで選ぶことになります。両方の違いはこちらの記事にまとめています。

なお、引っ越してから売る場合でも遅くはありません。ただし、あとでお話しする税金の特例には「住まなくなってから」の期限があります。「落ち着いてから考えよう」を何年も続けると、この期限を越えてしまうことがあるので、頭の片隅に置いておいてください。

売るのが先か、次の住まいを決めるのが先か——住み替え全般の順番の考え方は、住み替えの順番の記事で詳しくお話ししています。

貸す——家賃は入る。ただし「大家業」が始まる

数年で戻る予定があるなら、貸すのは有力な選択肢です。家を手放さずに家賃収入が入り、戻る場所も残せます。

ただ、貸すというのは「大家業を始める」ということでもあります。入居者の募集、設備が壊れたときの修繕、退去時の原状回復、空室のあいだのローン負担。家賃収入は原則として確定申告も必要になります。遠方の赴任先からこれを全部自分でやるのは現実的ではないので、管理会社に任せる前提で考えることになります。

転勤中の家の管理を管理会社に任せるイメージ

そうすると、手残りの計算に入れるものが見えてきます。管理会社への管理料、入退去のたびの原状回復やクリーニングの費用、給湯器やエアコンといった数年ごとにやってくる設備の交換費、そして空室のあいだのローンと税金。家賃がまるごと残るわけではない、という前提で見積もっておくと、あとで慌てずに済みます。

もうひとつ、住宅ローンが残っている場合は注意が要ります。住宅ローンは自分が住むことを前提にした融資なので、貸しに出すには金融機関への相談が必要です。黙って賃貸に出すと契約違反にあたるおそれがあります。ローンが残っている家の売却の考え方はこちらの記事でお話ししています。

それから、これは当社自身の経験からお伝えしたいのですが、貸した相手がいつも家賃を払ってくれるとは限りません。当社は自社の賃貸物件で家賃滞納にあい、明渡訴訟から強制執行まで経験しました。その一部始終はこちらの記事に書いています。貸すかどうか迷っている方は、先に読んでおいて損はありません。滞納は保証会社への加入でかなり防げますが、「貸せば家賃が入る」の裏側にこういう世界もある、というのは知っておいてほしいところです。

戻る時期が決まっているなら、期間を決めて貸す契約(定期借家契約)を検討してください。普通の借家契約は入居者の保護が強く、戻りたいタイミングで退去してもらえるとは限りません。定期借家なら、決めた期間で契約が終わるので、転勤の間だけ貸す形に向いています。そのぶん家賃は相場より下がる傾向がありますが、「戻れない」リスクとの引き換えです。

空き家のまま——「とりあえず」が一番高くつくことも

1〜2年で戻ることがはっきりしているなら、空き家のまま持つのは自然な選択です。他人に貸さないので家も傷まない——と思われがちですが、実は逆で、誰も住まない家は傷みが早いです。閉め切った家は湿気がこもり、カビや傷みが進みます。通風や通水、郵便物の整理、台風のあとの点検。こうした管理を、遠方から続ける算段が要ります。

転勤で空き家になった家のイメージ

そして、住んでいなくても固定資産税と維持費はかかり続けます。空き家を持ち続ける費用についてはこちらの記事で詳しくまとめています。「とりあえずそのまま」が3年、5年と延びて、傷んだ家と税金の請求だけが残った——というのは、空き家相談の定番の入り口です。空き家のままを選ぶなら、「いつまでに戻る・戻らなければどうする」の区切りをセットで決めておくことをおすすめします。

細かいところでは、火災保険の確認も忘れずに。住まいとして使わなくなった建物は、契約の条件が変わる場合があります。空き家のままにすると決めたら、保険会社への連絡を済ませておくと安心です。

空き家と火災保険の関係は、こちらの記事で詳しくお話ししています。

税金とローン、ここだけは知っておく

三択の判断に直接効いてくる制度の話を、2つだけ。

ひとつめは、売る場合の3,000万円の特別控除です。マイホームを売って利益が出ても、一定の要件を満たせば3,000万円まで控除される特例があります。以前住んでいた家の場合、この特例は「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売ることが要件です(国税庁 No.3302)。転勤で家を離れてから「いつか売ろう」と先延ばしにしていると、この期限を過ぎてしまうことがあります。売る可能性が少しでもあるなら、この期限は覚えておいてください。

ふたつめは、住宅ローン控除と転勤の関係です。転勤で家族全員が転居すると、住んでいない期間はローン控除を受けられなくなります。ただし、勤務先の転任命令などやむを得ない事情の場合、戻って再入居すれば、残っている期間について控除を再開できる制度があります(貸していた場合は再入居した年の翌年から。国税庁 No.1234)。単身赴任でご家族が住み続ける場合は、引き続き控除を受けられる扱いになっています。適用には条件や手続きがあるので、実際に動く前に税務署か税理士に確認してください。

判断の軸は「戻るか」と「期限」

整理すると、考える順番はシンプルです。まず、戻る予定があるか。戻ることが確実で時期も近いなら、空き家のまま管理するか、期間を区切って貸す。戻らない、または分からないなら、売却を軸に考える。「分からないから決めない」がいちばん条件を悪くしやすい、というのは売れ残りや空き家の記事でお話ししてきた通りです。

次に、期限。引っ越しまでの日数、3,000万円控除の3年ルール、ローンの扱い。転勤の三択は、時間の制約の中で決める話です。だからこそ、赴任前のばたばたの中で全部決めようとせず、「値段だけ先に知っておく」のも立派な準備です。売る場合と貸す場合の目安が分かれば、赴任後に落ち着いて決められます。

当社にできること

当社は買取と仲介のどちらも扱っているので、「引っ越しまでに確実に手放す買取」と「時間をかけて高く売る仲介」の両方の目安をお出しできます。また、自社で賃貸物件を持ち、貸す側の実務も経験しているので、貸した場合に何が起きるかも実感を持ってお話しできます。

引っ越し後の遠方からのご相談も、お写真とお電話・LINEで進められます。全部そろっていなくても大丈夫です。まずはお手元にあるものだけご用意ください。

まとめ

転勤で持ち家をどうするかは、「戻るか」と「期限」で決まります。戻らないなら売る。数年で戻るなら定期借家か、管理を固めた上での空き家。そして売る可能性があるなら、3,000万円控除の3年ルールを忘れない。どの道を選ぶにしても、まず値段と家賃の目安を知っておくと、判断がぐっと楽になります。

赴任までの時間が限られている方こそ、お気軽にご相談ください。日程から逆算してご提案します。

ご確認ください

この記事の税金・ローンに関する記載は、執筆時点の制度に基づく一般的な説明です。特例の適用可否や手続きは個別の状況によって変わるため、実際の判断の前に、必ず税務署・税理士・金融機関にご確認ください。

よくある質問

引っ越しまで1ヶ月しかありません。売れますか?

買取なら、日程を決めて引っ越し前に引き渡しまで終えられる場合があります。仲介で高く売りたい場合は、引っ越し後に遠方から売却を進める方法もあります。まずは日程からご相談ください。

売るのと貸すの、どちらが得ですか?

物件と期間によります。家賃収入から管理料・修繕費・空室期間を引いた手残りと、売った場合の資金を並べて比べるのがおすすめです。当社で両方の目安をお出しできます。

空き家のままにすると、家は傷みますか?

閉め切った家は湿気がこもり、傷みが進みやすくなります。定期的な換気・通水・点検が必要です。遠方から管理を続ける体制を作れるかどうかが分かれ目です。

3,000万円控除の期限を過ぎたらどうなりますか?

特例が使えず、売却益に対する税負担が変わることがあります。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までが期限です。詳しくは税務署か税理士にご確認ください。

単身赴任なら、住宅ローン控除はそのままですか?

ご家族がその家に住み続ける場合は、引き続き適用される扱いになっています(国税庁の案内があります)。ご自身のケースに当てはまるかは、税務署か税理士にご確認ください。

引っ越したあとでも、遠方から売却できますか?

できます。物件の場所とお写真でおおよその目安をお伝えし、その後のやり取りもお電話・LINE・郵送で進められます。現地に何度も戻る必要はありません。

明石・加古川の訳あり不動産、まずはご相談ください

「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。