家を売ったら税金はいくら?譲渡所得の計算と確定申告のやり方を初めての方向けに解説【明石市・加古川市】
家の引き渡しが終わり、代金も入金されて、ようやくひと安心——。そのあとにふと気になるのが、「そういえば、税金はどうなるんだろう」ということではないでしょうか。売れた金額がそのまま手取りになるわけではないと聞くと、急に不安になりますよね。
結論から言うと、家を売って税金がかかるのは「利益(譲渡所得)が出たとき」だけです。そして、かかる場合も計算の仕組みが決まっていて、税金を減らせる特例もあります。この記事では、家を売ったあとの税金の基本と確定申告の流れを、国税庁の公式情報をもとに、初めての方向けに整理します。
税金がかかるのは「利益が出たとき」だけ
家や土地を売ったときの税金(譲渡所得への課税)は、売れた金額そのものにかかるのではありません。売れた金額から、「その家を手に入れるのにかかったお金」と「売るためにかかったお金」を引いて、残った利益の部分だけにかかります(国税庁 No.3202)。
式にすると、こうなります。
売れた金額 −(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得(利益)
| ことば | 意味 | 入るものの例 |
|---|---|---|
| 売れた金額(収入金額) | 家や土地が売れた代金 | 売買代金 |
| 取得費 | その家を手に入れるのにかかったお金 | 購入代金・購入時の手数料・あとから行った改良費など。建物は使った年数分の目減り(減価償却相当)を差し引いて計算 |
| 譲渡費用 | 売るために直接かかったお金 | 仲介手数料・測量費・売買契約書の印紙代・建物の取壊し費用など |
この計算で譲渡所得がマイナス(利益なし)なら、その売却について所得税・住民税はかかりません。古くなった家を相場なりに売った場合、利益が出ないことも実際には多くあります。
税率は「何年持っていたか」で変わる
利益が出た場合の税率は、その不動産を所有していた期間で大きく変わります(国税庁 No.3208・No.3211)。
| 区分 | 所有期間 | 税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 売った年の1月1日時点で5年超 | 所得税15%+住民税5%(+復興特別所得税=所得税額の2.1%) |
| 短期譲渡所得 | 売った年の1月1日時点で5年以下 | 所得税30%+住民税9%(+復興特別所得税=所得税額の2.1%) |
ここで間違いやすいのが、5年の数え方です。「買った日から売った日まで」ではなく、売った年の1月1日時点で5年を超えているかどうかで判定します。実際の所有期間が5年を少し超えていても、1月1日時点では5年以下、ということが起こり得るので、売る時期を考えるときは注意したいところです。
相続した家は、親の期間を引き継ぐ
相続した実家を売る場合、「相続してからまだ1年だから短期?」と心配される方がいますが、そうではありません。相続で取得した不動産は、亡くなった方(被相続人)が取得した時期と取得費をそのまま引き継ぎます(国税庁 No.3270)。親が何十年も住んだ実家なら、多くの場合は長期の税率で考えることになります。

古い家でよくある「買った値段が分からない」問題
相続した実家などでは、「親がいくらで買ったのか分からない」「当時の契約書が見つからない」ということがよくあります。この場合、売れた金額の5%を取得費とみなして計算することができます(概算取得費・国税庁 No.3258)。
ただし、5%はかなり小さい金額です。たとえば2,000万円で売れた場合、取得費は100万円とみなされ、差額の大部分が利益扱いになって税金が重くなりがちです。売買契約書や領収書が見つかれば、実際の購入金額で計算できるので、実家の書類入れ・権利証と一緒に保管されていた封筒・仲介した不動産会社の記録などを、あきらめずに探してみる価値があります。
ここまでを、計算の例で確認
たとえば、親から相続した家が2,000万円で売れ、仲介手数料などの譲渡費用が80万円だったとします。親が買ったときの契約書は見つからず、取得費は概算の5%=100万円を使うとします。
譲渡所得は、2,000万円 −(100万円+80万円)=1,820万円。親が長年住んだ家なので長期の税率を当てはめると、所得税は273万円(15%)、住民税は91万円(5%)、復興特別所得税は約5万7,000円で、合計およそ370万円という計算になります。
金額の大きさに驚かれたかもしれません。ただ、これは「取得費が分からず、特例も使わない」場合の話です。もしこの売却に、次にご紹介する相続空き家の3,000万円控除が使えれば、1,820万円から3,000万円を差し引けるため、譲渡所得はゼロ。税金はかからなくなります(その場合も申告は必要です)。取得費の資料を探すことと、特例を確認することが、どれだけ大きいかが分かる例です。
※これはあくまで仕組みを分かりやすくするための計算の例です。実際の税額は物件やご事情によって変わります。
税金を減らせる特例がある
一定の要件を満たすと、利益から大きく差し引ける特例があります。代表的なものは次の2つです。
- マイホームを売ったときの3,000万円特別控除……自分が住んでいた家を売った場合に、利益から最高3,000万円を差し引ける特例です。
- 相続した空き家の3,000万円特別控除……相続した親の家(空き家)を売った場合の特例で、耐震や取り壊しなどの要件があります。くわしくは空き家の3,000万円控除の記事で解説しています。
このほか、相続税を納めた方が相続財産を一定期間内に売った場合の「取得費加算の特例」などもあります。どの特例も要件が細かく決まっているため、使えるかどうかは国税庁の案内や税理士・税務署で必ず確認してください。
そして大事な点がひとつ。特例は、確定申告をすることが適用の条件とされています。「特例を使えば税金がゼロになるから申告しなくていい」ではなく、「申告するからこそ特例が使える」という順番です。

確定申告は「売った翌年」に
家を売って利益が出た場合や、特例を使う場合は、売った年の翌年に確定申告をします。申告の期間は、例年2月16日から3月15日ごろです(その年の曜日により前後します。国税庁・確定申告の案内)。
| ケース | 確定申告 |
|---|---|
| 利益(譲渡所得)が出た | 必要 |
| 利益は出たが、特例を使うと税金がゼロになる | 必要(申告が特例の条件) |
| 計算して利益が出ていない(特例も使わない) | 原則不要(他の申告事情がある場合を除く) |
申告に使う書類としては、確定申告書のほか、譲渡所得の内訳書、売ったときの売買契約書の写し、仲介手数料などの領収書、取得費が分かる資料(購入時の契約書など)といったものを使います。特例を使う場合は、それぞれの特例ごとに追加の書類が必要です。
売却のときの書類は、申告まで大切に
NextHomeで売却のお手伝いをする際にも、「この書類は来年の確定申告で使うので、まとめて保管しておいてくださいね」というご案内をしています。売買契約書・仲介手数料の領収書・測量や取り壊しの領収書などは、税金の計算にそのまま関わる書類です。売却が終わったら、ひとつの封筒やファイルにまとめておくと、申告のときに慌てずにすみます。
なお、税金の計算や申告の代行は税理士の専門領域で、当社が税務の相談をお受けすることはできません。個別の税額や特例が使えるかどうかは、税務署(無料の電話相談・確定申告期の相談会場)や税理士にご確認ください。当社では、売却前の段階で「手取りがどれくらいになりそうか」の目安を整理するお手伝いと、申告に必要な売却関係書類のご案内をしています。
ご確認ください
本記事は、不動産を売ったあとの税金と確定申告について、一般的な情報をまとめたものです(税率・制度は執筆時点の国税庁の案内にもとづきます)。実際の税額や特例の適用可否は、物件や売り方、ご事情によって変わります。具体的な判断は、国税庁の最新の案内をご確認のうえ、税務署または税理士にご相談ください。断定的な保証をするものではありません。
よくある質問
家を売ったら、必ず税金がかかりますか?
いいえ。税金がかかるのは、売れた金額から取得費と譲渡費用を引いて、利益(譲渡所得)が出たときだけです。古い家では、計算すると利益が出ていないことも少なくありません。
相続した実家をすぐ売ると、税率の高い「短期」になりますか?
なりません。相続した不動産は、亡くなった方が取得した時期を引き継ぎます。親が長年住んだ家なら、多くの場合は長期の税率で考えることになります。
親がいくらで買ったか分かりません。どうなりますか?
売れた金額の5%を取得費とみなして計算できますが、税金は重くなりがちです。購入時の売買契約書などが見つかれば実際の金額で計算できるので、まず書類を探してみることをおすすめします。
特例を使えば税金がゼロになる場合、申告しなくてもいいですか?
いいえ。3,000万円控除などの特例は、確定申告をすることが適用の条件とされています。税金がゼロになる場合でも申告が必要です。
確定申告はいつ、どこでするのですか?
売った年の翌年、例年2月16日から3月15日ごろの期間に行います。税務署の窓口のほか、自宅からのe-Tax(電子申告)も利用できます。確定申告期には税務署の相談会場も開かれます。
税金の相談は、不動産会社にできますか?
税金の計算や申告の代行は税理士の専門領域のため、当社がお受けすることはできません。税務署の無料相談や税理士をご利用ください。当社では、売却前の手取りの目安の整理と、申告に使う売却関係書類のご案内をしています。
「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。
