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再建築不可・道路問題

隣の土地を買い増して「建てられる土地」にして売る方法

公開日:2026年8月1日 更新日:2026年9月5日

相続した土地の査定で、「建て替えができないので、この値段になります」と言われた。安いまま売るしかないのか、それとも、あきらめて持ち続けるか——。その前に、ひとつ検討してほしいやり方があります。隣の土地を少し買い増して、「建てられない土地」を「建てられる土地」にしてから売る方法です。

大がかりな話に聞こえるかもしれませんが、隣地の買い増しは、当社が買取再販の中で普段から使っている実務的なやり方です。この記事では、どんな形があるのか、かかるお金に見合うかをどう確かめるのか、隣の方への話の持って行き方まで、順番にお話しします。道路にまったく接していない土地(無道路地)の売り方全般はこちらの記事で、再建築不可全般はこちらの記事でお話ししています。この記事は、その中の「買い増し」を詳しくお話しする回です。

なぜ買い増しで「建てられる土地」になるのか

建物を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接している必要があります(建築基準法43条・接道義務)。この条件を満たせない土地が、いわゆる再建築不可です。パターンは大きく3つ。道路にまったく接していない(無道路地)、通路はあるが幅が2メートルに足りない(旗竿地の細い通路など)、そして、接している道が法律上の「道路」ではない場合です。

このうち最初の2つは、隣の土地を少し手に入れるだけで条件を満たせることがあります。まったく接していないなら、道路までつながる細長い部分を。幅が1.5メートルしかないなら、足りない50センチ分を。買い増しがまとまれば、その土地は「建てられる土地」に変わり、買い手の層も値段も別物になります。3つ目の「道路ではない」パターンは買い増しでは解決しないので、まず道路種別の確認から入ります(確認の仕方は位置指定道路の記事でお話ししています)。

隣の土地は、どれだけ買えば「建てられる」のですか?

接道義務を満たすまで、です。「建築基準法上の道路に2メートル以上接する」状態を作れる分だけで足ります。隣地を丸ごと買う必要はありません。通路の幅が1.5メートルなら、あと50センチ分の幅があれば足ります。

ただし、2メートルは最低ラインです。実際には、車を入れたいなら2.5メートル前後ほしくなりますし、自治体の条例で、通路部分(路地状部分)の長さに応じて必要な幅が上乗せされている場合もあります。どこまで買えば何ができるようになるかは、市の建築担当窓口と図面で確かめながら決めることになります。

隣地との境界沿いの使われていないスペースのイメージ

買い増しの3つの形

形 内容と向いているケース
①通路部分だけ譲ってもらう 隣地の端の細長い部分を分筆して購入する。費用を抑えやすく、隣地側への影響も小さい。いちばん検討しやすい形
②隣地を丸ごと買う 隣も空き家・空き地なら、まとめて一つの広い土地に。整形地として売れるので評価の上がり方が大きい
③土地を交換する 互いの使いにくい部分を交換して形を整える。お金のやり取りを抑えられるが、税金の扱いの確認が必要

どの形が合うかは、隣地の使われ方とこちらの土地の形で決まります。①は隣地の庭先や駐車場の端など「使っていない部分」があるときに現実的です。②は隣も空き家や空き地のときに検討する価値があります。ただ、どの形も相手のある話です。こちらの希望だけでは決められないからこそ、まず「こういう形がある」と知っておいてください。

モデルケースで、お金の流れを見る

考え方をつかんでいただくために、架空のモデルケースでお金の流れを追ってみます。数字はあくまで仮のもので、実際の金額は土地ごとにまったく違います。

奥に80平方メートルの宅地があり、道路までの通路の幅が1.5メートルしかない旗竿地を考えます。このままでは建て替えができないため、買い手はかなり限られます。仮に、建てられる状態なら1,000と評価される土地が、建てられないままでは300と評価されるとしましょう。

ここで、隣地から幅50センチ・長さ10メートルの細長い部分を譲ってもらえたとします。かかるお金は、土地代に加えて、境界の確定測量、分筆の登記、契約まわりの実費。その合計が仮に150だったとしても、土地の評価が300から1,000に近づくのであれば、買い増しをやる意味は十分にあります。買い増しにかかるお金の合計と、土地の評価がどれくらい上がるのか。この2つを並べて確かめるのが、判断のいちばん最初です。

逆に言うと、いつでもやる意味があるとは限りません。譲ってもらう部分に高い値が付いてしまう場合や、小さな土地で測量・登記の実費がかさむ場合は、無理に買い増すより、そのまま売るほうが手元に残ることもあります。当社では、図面と周辺の相場からこの計算を先にして、意味がありそうなときだけご提案しています。

隣の方への話の持って行き方

当社が隣地への打診で気をつけている順番があります。

隣の方との立ち話のイメージ(隣地への相談)

最初に、こちらの事情の整理から。いきなり「端を売ってください」と切り出すのではなく、土地を整理したい事情をお伝えして、相手の状況を伺うところから始めます。隣地側にも「使っていない端の土地が現金になる」「境界がはっきりする」という利点のある話なので、押し付けではなく、お互いの土地の整理として話せるかどうかが分かれ目になります。

金額の話は、根拠を用意してからにします。こうした細長い土地には決まった相場がなく、言い値の応酬になるとこじれやすいからです。周辺の取引事例や土地全体の評価から「この幅ならこれくらい」という根拠を示して、双方が納得できる着地点を探します。

断られたら、深追いはしません。時間を置いて状況が変わることもありますし、買い増しにこだわらず、43条2項の例外の確認、建てない使い方での売却、買取といった別の方法に切り替えることもできます(無道路地の記事でお話しした選択肢です)。隣地との関係を壊してしまうと、そのどれもが進めにくくなります。引き際も含めて第三者に任せる価値がある、というのが実感です。

費用で見落としやすいもの

買い増しでかかるのは土地代だけではありません。よく見落とされるのが、境界の確定と分筆です。隣地の一部を譲ってもらうには、境界を確定し、譲る部分を測量して図面を作り、分筆の登記をしてから所有権を移す、という手順を踏みます。登記手続きの全体像は法務局の案内にまとまっています。分筆のための測量・申請は、土地家屋調査士が担う領域です。

境界杭と測量機材のイメージ(境界の確定測量)

費用は、境界標が残っているか、隣接する土地がいくつあるか、過去の測量資料があるかで大きく変わるので、この記事では金額を断定できません。検討の段階で必ず見積もりを取って、買い増し全体でいくらかかるのかを確かめてから判断してください。当社でご相談いただく場合は、この見積もり取りからお手伝いします。

もうひとつ、時間のこともお伝えしておきます。境界確定には隣接地の方々の立ち会いが必要で、数ヶ月単位の時間がかかることがあります。売却の期限が決まっている方は、そこまでの時間をかけられるかどうかも先に考えておいてください。

加古川市には、隣の空き家を買い取って一体で使う場合に解体費の一部を補助する制度があります。詳しくは加古川市で相続した空き家を売る記事でお話ししています。

お住まいの市によっては、隣地との統合にかかる費用を補助する制度が用意されています。神戸市の場合、100平方メートル未満の狭小地や、道に接していない土地を隣地と統合するときに、費用の一部(上限50万円)が補助されます。詳しくは神戸市西区で相続した空き家を売る記事でお話ししています。

当社にできること

隣地の買い増しは、当社が買取再販の中で普段からやっている手法です。明石市・加古川市周辺の古い市街地や昭和の分譲地には、旗竿地や接道の足りない土地が少なくありません。そうした土地を買い取り、隣地の方と話し合いながら形を整えて、次の買い手につないできました。

ただし、買い増しは相手のあることです。必ずまとまるとは限りませんし、当社も最初から「できます」とは言いません。まとまらなかった場合の売り方まで含めて、一緒に考えます。公図や測量図がお手元にあれば、現状の確認がしやすくなります。全部そろっていなくても大丈夫です。まずはお手元にあるものだけご用意ください。足りない図面は当社で取り寄せて確認します。

まとめ

接道が足りない土地は、隣の土地を少し買い増すことで「建てられる土地」に変わることがあります。形は、通路部分の分筆・丸ごと購入・交換の3つ。判断するときは、買い増しにかかるお金の合計と、土地の評価がどれくらい上がるのかを並べて確かめる。そして、隣の方への話の持って行き方をなにより大事にする。安いまま売るしかないと思っていた土地に、別の売り方が見つかることがあります。ただし相手のある話なので、うまくいくケースばかりではありません。できそうかどうかの見当を付けるところから、当社でお手伝いします。

「うちの土地の場合はどうか」という段階のご相談で構いません。お気軽にご相談ください。

ご確認ください

この記事の内容は、一般的な制度の説明と当社の実務経験に基づくものです。本文中のモデルケースは考え方を説明するための架空の例で、実在の物件・取引ではありません。買い増しは隣地所有者の方の同意が前提であり、まとまることをお約束するものではありません。接道の要件や必要な通路の幅は自治体の条例によって異なり、費用や税金の扱いは個別の状況で変わります。実際の判断にあたっては、市の建築担当窓口・土地家屋調査士・税理士などの専門家にご確認ください。法令に関する記載は執筆時点のものです。

よくある質問

隣の土地の一部だけを買うことはできますか?

隣の方が譲ることに同意されれば、可能です。譲ってもらう部分を測量して切り分ける「分筆」という手続きを経て、所有権を移します。境界の確定が前提になり、測量・申請は土地家屋調査士が担います。相手のある話なので、必ず買えるとは限りません。

どのくらいの幅を買えば、建て替えできるようになりますか?

基本は「建築基準法上の道路に2メートル以上接する」状態を作れる分です。ただし自治体の条例で必要な幅が上乗せされる場合があるので、市の建築担当窓口と図面で確認してから決めてください。

隣の人には、どう切り出せばいいですか?

いきなり金額の話をするのはおすすめしません。土地を整理したい事情から伝えて、相手の状況を伺うのが先です。当社が間に入って、打診から金額の根拠づくりまで進めることもできます。

買い増しの費用は、土地代のほかに何がかかりますか?

境界の確定測量、分筆の登記、契約と所有権移転の実費などがかかります。金額は土地の状況で大きく変わるので、必ず見積もりで確かめてください。

隣の人が売ってくれない場合は、どうなりますか?

深追いせず、別の方法を考えます。43条2項の例外の確認、駐車場など建てない使い方での売却、買取という選択肢があります。時間を置いて話が動くこともあります。

買い増してから売るのと、そのまま売るのと、どちらがいいですか?

土地の条件と、なにより隣の方のご意向によります。買い増しは相手のある話で、必ずできるとは限りません。かかるお金と、評価がどれくらい上がるのかを並べて、できそうかどうかの見当を付けるところから、当社でお手伝いします。

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