売買契約から引き渡しまでの流れと期間|契約の日に売主がすること
買主が決まり、購入の申込みが入った。ほっとすると同時に、「このあと何があるのか」「いつ家を渡すのか」「当日は何をさせられるのか」と、急に不安になる。売買契約を前にした売主さまから、よくうかがう話です。
この記事では、売買契約から決済・引き渡しまでの流れと期間を、明石市・加古川市周辺で売却を扱う当社の進め方に沿ってお話しします。契約の日に売主が実際にすること、売主と買主の同席が難しいときの方法、引き渡しまでの間にやっておくことまで、順番に見ていきます。
売買契約から引き渡しまでの流れ
| 段階 | 何をするか |
|---|---|
| ①購入申込み | 買主から購入の意思と希望条件が書面で届く。金額や引き渡し時期を調整して合意 |
| ②売買契約 | 重要事項説明(買主向け)→契約書に双方が記名押印→手付金の受け取り |
| ③契約から決済までの間 | 売主は引き渡しの準備(ローン完済の手配・引っ越しなど)。買主は残代金の準備 |
| ④決済・引き渡し | 残代金の受け取りと鍵の引き渡し。司法書士が所有権移転の登記手続きへ |
大きくはこの4段階です。以下、売主目線で順に見ていきます。なお、①より前の、売却を任せる契約(媒介契約)や売り出しの活動については、媒介契約の記事でお話ししています。
売買契約の日、売主は何をするのか
当社の場合、契約の日はこう進めます。まず前提として、重要事項説明は、物件を買う側に向けた説明です。宅建業法35条で、契約が成立するまでの間に宅地建物取引士が説明すると決められています。売主はこの説明を受ける側ではないので、契約日の負担は買主より軽くなります。
そこで当社では、買主さまに先に来ていただき、売主さまは遅めの時間にお越しいただく形を取っています。同じ時間に来ていただくと、売主さまは重要事項説明が終わるまで長く待つことになるからです。買主さまは、重要事項説明、告知書・付帯設備表の説明、契約書の読み上げ、手付金の支払いまでで、当日はおおよそ1時間ほどです。
売主さまは、到着後まず買主さまとは別の席で、「この内容で買主さまにご説明します」という確認をします。告知書(物件状況等報告書)や付帯設備表は事前にご記入いただいているので、当日その場で書く作業はありません(この書類の中身は現況渡しの記事でお話ししています)。そのあと買主さまと同席し、双方の前で契約書を読み上げ、記名押印、手付金の受け取り。ここまでが契約日です。契約のときに受け取る手付金は、決済のときに売買代金の一部に充てられます。

同席が難しいときは「持ち回り契約」という方法もある
お仕事の都合や遠方にお住まいなどで、売主と買主の時間がどうしても合わない場合は、双方が顔を合わせずに、それぞれの都合のよいタイミングで契約書を取り交わす方法を取る場合があります。持ち回り契約と呼ばれる進め方です。
「同席しないで契約になるのか」と思われるかもしれませんが、民法522条のとおり、契約は申込みと承諾の意思の合致で成立するもので、売主と買主が同じ場に集まることは法律上の要件ではありません。買主への重要事項説明を契約前に行うことなど、必要な手順を踏んだうえで、書面を順に取り交わせば契約になります。それぞれの時間で進められるので負担は軽くなりますが、どちらかが「お相手と顔を合わせてごあいさつしたい」というご希望の場合は、この方法は取りません。
契約から決済までの間に、売主がやること
先に動いておきたいのは、住宅ローンが残っている場合の金融機関への連絡です。売却代金でローンを完済し、抵当権という担保の登記を消してから引き渡すことになるので、金融機関に連絡して、完済と抵当権抹消の手続きにどのくらいの時間がかかるかを確認していただきます。これが分かると、決済日のおおよその見当が付きます(ローンが残っている家の売却の全体像はこちらの記事)。
住み替えの場合は、引っ越しと決済日の日程調整です。決済の日には買主に引き渡せる状態にしておく必要があるので、引っ越しの日程は余裕を持って決めてください。売り先行・買い先行それぞれの進め方は住み替えの順番の記事でお話ししています。
細かいところでは、電気・ガス・水道の停止や精算の連絡も、引き渡しの日に合わせて進めておきます。ご自身で掛けている火災保険は、引き渡しが済む前に解約しないでください。引き渡しの日までは売主の建物なので、保険が切れた状態で万一のことがあると困るからです(空き家の火災保険の記事)。また、その年の固定資産税などは、引き渡しの日を境に売主と買主で日割り精算することが多く、精算のやり方は契約書に書き込みます。

期間はどのくらい?
ふつうの住宅の売買では、買主が住宅ローンを使うため、契約から決済までの間に金融機関の本審査などが入り、期間が延びる場合があります。当社が扱うような事情のある物件では、現金で購入される方も多く、その場合は審査を待つ期間がないぶん、決済まで早く進みます。
当社の場合、契約から決済まで1ヶ月ほどで進むことが多く、早いときは1〜2週間ということもあります。さらに、契約と決済を同じ日に行うこともあります。法律は契約から引き渡しまでの期間を定めていないので、重要事項説明を契約の前に行うという順序さえ守れば、同じ日にまとめて終えられます。お越しいただく回数が減るので、遠方の売主さまやお忙しい方の負担はぐっと軽くなります。
決済・引き渡しの日
決済の場所はいろいろです。買主が融資を受ける場合はその銀行で行うのが基本で、現金購入でも買主が支払いに使う銀行で行うことがあります。そのほか、買取業者や仲介業者の事務所で行うことも多くあります。支払いも、その場でネットバンキングから振り込んでいただく形や、現金でお渡しいただく形などさまざまです。
当日は司法書士が基本的に同席し、その場で売主・買主の本人確認と書類のチェックを行います。所有権の移転を正確に行うためのものですが、ドラマの題材にもなった「地面師」(所有者になりすまして他人の不動産を勝手に売る詐欺)を防ぐ確認でもあります。残代金の受け取りと鍵の引き渡しが済むと、司法書士が管轄の法務局へ登記の書類を提出して、名義の変更が進みます。売主がご自身で法務局に行く必要はありません。
なお、売主・買主のどちらかが遠方などのご事情で、どうしても決済の場に来られない場合は、司法書士に手続きを一任する形を取ることもあります。別途の費用はかかりますが、どうしても都合の付かない方には便利な方法です。
決済当日に売主さまが持って行く物(権利証・実印・印鑑証明書など)は、決済当日の持ち物の記事で一つずつお話ししています。

当社にできること
当社は仲介と買取の両方を扱っています。仲介では、ここまでお話しした流れの日程調整(契約日の時間配分から、金融機関・司法書士との連携、決済日の設定まで)を当社がまとめて進めます。当社が直接買い取る買取の場合は、当社が買主なので日程の相談がしやすく、ご事情によっては契約と決済を同じ日にまとめる形もご相談いただけます(買取と仲介の違いの記事)。
売却の日程や進め方のご相談は、売却をお考えの段階からで大丈夫です。お気軽にどうぞ。
まとめ
売買契約から引き渡しまでは、購入申込み→売買契約→準備の期間→決済・引き渡し、の4段階です。契約の日の売主の負担は買主より軽く、当社では別席での確認と時間差のご案内で、さらに短く済むようにしています。同席が難しければ持ち回りという方法もあります。期間は現金購入なら1ヶ月ほどが多く、契約と決済を同じ日に行うこともできます。ローンが残っている方は金融機関への連絡だけ早めに。あとの日程や流れは、当社がご一緒に決めていきます。
ご確認ください
この記事の記載は執筆時点のもので、流れや期間は当社の進め方に基づく説明です。契約の進め方・決済の場所や方法は、取引の内容と当事者のご事情によって変わります。期間の記載は目安であり、お約束するものではありません。ローンの完済や抵当権抹消の手続きは金融機関によって異なりますので、ご契約先にご確認ください。
よくある質問
売買契約から引き渡しまで、期間はどのくらいかかりますか?
当社の場合、契約から決済まで1ヶ月ほどが多く、早いときは1〜2週間のこともあります。契約と決済を同じ日に行う場合もあります。買主が住宅ローンを使う場合は、審査の関係でもう少し長くなることがあります。
契約と引き渡しを同じ日にできますか?
できます。法律は契約から引き渡しまでの期間を定めていません。重要事項説明を契約の前に行うという順序を守れば、同じ日に契約と決済をまとめて終えられます。お越しいただく回数が減るので、ご負担は軽くなります。
契約の日、売主は何をしますか? 時間はどのくらいかかりますか?
別席での内容確認のあと、買主さまと同席して契約書の読み上げ、記名押印、手付金の受け取りです。重要事項説明は買主に向けた説明なので、売主さまは買主さまより遅めの時間にお越しいただく形にしており、当日にいただくお時間は、買主さま(1時間ほど)より短めです。
売主と買主が同席しないで契約できますか?
できます。契約は双方の意思の合致で成立するもので、同席は法律上の要件ではありません。時間が合わない場合は、それぞれの都合のよいタイミングで書面を取り交わす持ち回り契約という方法を取る場合があります。
住宅ローンが残っていても、このまま進められますか?
進められます。売却代金で完済し、抵当権の登記を消して引き渡す形が多いです。金融機関への連絡と手続きに時間がかかるので、契約が見えてきたら早めに連絡して、必要な時間を確認しておいてください。
決済の日は、どこで何をしますか?
買主が融資を受ける銀行や、買主が支払いに使う銀行、不動産会社の事務所などで行います。司法書士が同席して本人確認と書類の確認を行い、残代金の受け取りと鍵の引き渡しが済むと、司法書士が法務局で名義変更の手続きを進めます。売主がご自身で法務局へ行く必要はありません。
「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。
