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現況渡しとは?直さずに家を売るときの基本と壊れた設備の扱い

公開日:2026年8月8日 更新日:2026年8月11日

「壊れた給湯器、直してからじゃないと売れませんか」「建物は解体したほうがいいですか」——古い家の売却のご相談で、よくいただく質問です。お金をかけて直したり壊したりしてからでないと売りに出せない、と思っていらっしゃる方は多いのですが、実際には、今の状態のまま売りに出す「現況渡し」という形があります。この記事では、現況渡しとは何か、勘違いされやすい責任の話、壊れた設備の実務での扱いまで、順番にお話しします。

現況渡しとは?——今の状態のまま引き渡すこと

現況渡し(「現状有姿での引き渡し」とも言います)は、修繕やリフォーム、解体などに手を付けず、今ある状態のまま買主に引き渡す売り方です。壊れた設備は壊れたまま、古い内装は古いまま。その状態を買主に見てもらい、了解のうえで契約します。

当社にご相談いただく物件には、古い家や傷みのある家、設備が動かなくなった家が多く、そうした売却は現況渡しの形で進めることがよくあります。売主さまがお金と時間をかけて手を入れなくても、売却は始められます。

勘違いしやすいところ——「現況渡し=責任がなくなる」ではない

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。現況渡しは「そのままの状態で引き渡す」という引き渡し方の話であって、引き渡したあとの売主の責任まで自動でなくなるわけではありません。

民法では、引き渡された物件が契約の内容に合っていなかったとき、買主は売主に対して、修補などの対応や代金の減額、場合によっては損害賠償や契約の解除を求めることができます(契約不適合責任・民法562条〜)。「そのまま渡したのだから関係ない」とは、法律上はなりません。

では、どうするか。個人が売主の売買では、契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」という特約を入れることができます。当社が仲介する現況渡しの売買でも、この免責の特約を入れる形が基本です。ただし、大事な条件があります。民法572条により、売主が知りながら告げなかった事実については、免責の特約をしても責任を免れられません。

つまり、現況渡しを正しく成り立たせる方法はひとつだけ。知っている不具合を、隠さず全部伝えて売ることです。

「全部伝える」を書面にする——物件状況等報告書と付帯設備表

全部伝える、と言っても口頭ではあとに残りません。売買契約では、次の2つの書面を使います。

書面 書くこと
物件状況等報告書(告知書) 雨漏り・シロアリ・傾き・増改築の履歴・敷地の状況など、売主が知っている物件の状態
付帯設備表 給湯器・エアコン・キッチンなど設備の有無と、故障・不具合の状態

売主にしか分からないことを書面で買主に伝える、トラブル防止のための書類です(不動産ジャパン・契約の準備の解説)。当社の売買でも、この書面に知っていることをすべて書いていただき、買主にすべて分かったうえで買ってもらうことを徹底しています。書き方は当社が一緒に確認しながら進めます。なお、この書類は知っていることを伝えるためのもので、知らないことまで保証する書類ではありません。相続した家などで分からない項目は「不明」と書けます。雨漏りの跡や建物の傾きのように言いにくいことほど、先に書いておいてください。傾きや雨漏りのある家の売り方は、傾いた家・雨漏りする家の記事でお話ししています。

シロアリ被害がある(あった)場合の告知と売り方は、シロアリ被害のある家の記事でまとめています。

物件状況等報告書と付帯設備表に記入する手元のイメージ

壊れた設備はどうする?

「動かない給湯器やエアコンは、外してから渡すべきですか」というご質問もよくあります。多くの場合、直す必要も外す必要もありません。そのまま引き渡す方法が2つあるからです。

ひとつは、付帯設備表に「故障あり」と明記して、そのまま引き渡す形。もうひとつは、エアコンなどを設備ではなく残置物(置いていくもの)という扱いにして引き渡す形です。どちらの場合も、「不具合のある設備もそのままお渡しします」ということを契約書に盛り込んで、買主の了解を取ったうえで引き渡します。手を入れるかどうかより、どう扱うかを契約ではっきりさせておく。ここがいちばん大事なところです。

古くなった設備をそのまま引き渡す家の台所のイメージ

家具や荷物が残ったままの家も、考え方は同じです(荷物が残ったままの家の売却の記事)。

「建物は解体したほうがいいですか」というご質問への答えも、同じ考え方です。先にご自身の費用で壊す必要はありません。解体にはまとまった費用がかかりますし(解体費用の記事)、建物を壊して更地にすると固定資産税の住宅用地の特例が外れて税額が上がる場合もあります(空き家と固定資産税の記事)。古家付き土地として現況のまま売りに出し、解体するかどうかは買主が決まってから条件として調整する——この順番で進められます。

現況渡しの良い点と、注意点

売主にとっての良い点は3つ。修繕やリフォームのお金をかけずに済むこと、工事を待たずにすぐ売り出せること、そして「直したのに売れなかった」という空振りがないことです。

注意点は2つ。まず、状態がそのまま価格に反映されるので、直した家と同じ値段では売れません。修繕にかけるお金と、直した場合に見込める売却額の差を比べて決めることになりますが、古い家では、かけたお金ほど売却額が上がらないことも珍しくありません。もうひとつは、ここまでお話しした告知です。言いにくい不具合ほど、先に書面で伝えておく。それが結局、売主さまを守ります。

現況のまま家を引き渡す鍵の受け渡しのイメージ

当社にできること

当社は、明石市・加古川市周辺で、傷みのある家・古い家の売却を専門に扱っています。仲介で現況渡しの売買をする場合は、免責特約の整理と、物件状況等報告書・付帯設備表の書き方まで一緒に確認しながら進めます。

この契約不適合責任そのものの中身——買主が請求できることや期間、免責特約がどこまで働くか——は、契約不適合責任の記事で詳しくお話ししています。

そして、当社が直接買い取る買取の場合は、当社が買主になるので、修繕もお掃除も不要、荷物もそのままで、引き渡したあとの不具合の責任が売主さまに残らない内容で契約するのが基本です(買取と仲介の違いの記事)。まだ売ると決めていない、査定だけ、という段階のご相談でも構いません(査定だけでも大丈夫、という話はこちら)。お気軽にどうぞ。

ご相談の際は、家の図面や、分かる範囲の不具合のメモがあると、確認が進めやすくなります。全部そろっていなくても大丈夫です。まずはお手元にあるものだけご用意ください。

まとめ

現況渡しは、修繕や解体をせず、今の状態のまま引き渡す売り方です。ただし「そのまま渡すから責任もなし」ではなく、免責の特約と、知っている不具合をすべて書面で伝える告知が揃って、はじめて成り立ちます。壊れた設備は「故障あり」と明記するか残置物の扱いにして、契約ではっきりさせたうえでそのまま引き渡せます。直してから売るか、このまま売るかで迷ったら、両方の場合の目安を並べて比べてから決めても遅くありません。

ご確認ください

この記事の記載は執筆時点のものです。契約不適合責任や免責特約の扱いは、個々の契約内容によって変わります。売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合は、特約の制限など別のルールがあります。個別の契約条項については、契約前に仲介会社や専門家にご確認ください。本文中の実務の記載は当社の進め方であり、すべての取引に当てはまるものではありません。

よくある質問

現況渡しとは何ですか?

修繕やリフォーム、解体などをせず、今の状態のまま買主に引き渡す売り方です。「現状有姿での引き渡し」とも言います。壊れた設備や古い内装も、その状態を買主に伝えたうえで、そのまま引き渡します。

現況渡しなら、引き渡したあとに責任を問われませんか?

現況渡しにしただけでは、売主の契約不適合責任はなくなりません。個人が売主の売買では、契約書に免責の特約を入れる形が一般的ですが、知りながら告げなかった不具合については、特約があっても責任を免れられません。知っていることをすべて書面で伝えておくことが、売主を守るいちばんの方法です。

壊れた給湯器やエアコンは、直さずそのままでいいですか?

直す必要はありません。付帯設備表に「故障あり」と明記して引き渡すか、残置物という扱いにして引き渡します。いずれも、不具合のある設備をそのまま渡すことを契約書に盛り込み、買主の了解を得たうえで進めます。

リフォームや解体をしてから売ったほうが良いですか?

先にお金をかける必要はありません。古い家では、かけた費用ほど売却額が上がらないこともあります。このまま売った場合の目安を先に確認して、リフォームや解体をした場合と比べてから決めても遅くありません。

現況渡しだと、価格は安くなりますか?

状態がそのまま価格に反映されるので、直した家と同じ価格にはなりません。そのかわり修繕のお金がかかりません。差し引きでどちらが良いかは物件によって変わるので、査定では、このまま売る場合と直した場合の両方の目安を並べてご確認いただけます。

買取も現況渡しですか?

当社の買取は、修繕もお掃除も不要で、荷物もそのままの現況渡しが基本です。当社が買主になるので、引き渡したあとの不具合の責任が売主さまに残らない内容で契約します。

明石・加古川の訳あり不動産、まずはご相談ください

「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。