相続土地国庫帰属制度とは?「国がタダで引き取ってくれる」は誤解——費用・使えない土地・現実的な使いどころ
1万4,000円と、20万円。——相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」で、あなたが国に払うお金です。「え、こっちが払うの?」と思った方。そこが、この制度のいちばん誤解されているところです。
2023年に始まったこの制度、「いらない土地を国がタダで引き取ってくれる」と思われがちですが、実際はお金を払って土地を手放す、最終手段の制度です。しかも使える土地の条件はかなり絞られています。この記事では、費用と要件の現実、相続放棄との違い、そして「申請する前に一度だけやってほしいこと」をお伝えします。
この記事で分かること
- 相続土地国庫帰属制度の仕組みと費用(手数料+負担金)
- 引き取ってもらえない土地の条件
- 相続放棄との違い・使い分け
- 申請前に確認すべき「その土地、本当に売れない?」
制度の仕組み——「国が買う」のではなく「払って引き取ってもらう」
相続や遺贈で取得した土地について、法務局(法務大臣)の承認を得て、所有権を国に引き渡せる制度です。申請先は土地がある都道府県の法務局・地方法務局の本局(支局・出張所では受け付けていません)。書類審査と現地調査を経て、承認されれば負担金を納付し、その時点で所有権が国に移ります(移転登記は国がやってくれます)。
費用は2段階——手数料1.4万円+負担金原則20万円
① 審査手数料:土地一筆あたり14,000円。申請時に納めるもので、不承認になっても返ってきません。② 負担金:原則20万円。国が10年分の管理費用相当として受け取るお金で、承認後の通知から30日以内に納付します(市街化区域内の宅地や森林などは、面積に応じてさらに高くなる場合があります)。つまり、うまくいっても最低21万4,000円の持ち出し——これが、この制度の出発点です。
引き取ってもらえない土地——建物がある土地は申請できません
そして要件です。まず大前提として、建物がある土地は申請できません。空き家が建ったままなら、先に自費で解体して更地にする必要があります(解体費の目安はこちらの記事)。ほかにも、担保権が付いている土地、通路など他人が使っている土地、土壌汚染のある土地、隣地との境界が明らかでない・争いがある土地は却下。崖地や、樹木・車両・埋設物などで管理に手間のかかる土地も不承認になります。「管理に困る土地ほど引き取ってもらいたいのに、管理に困る土地ほど断られる」——この制度のジレンマです。
相続放棄との違い
「手放す」つながりで混同されがちですが、この2つは別物です。相続放棄は、財産すべてを手放す代わりに借金も引き継がない手続きで、期限は3ヶ月(詳しくは相続放棄の記事)。国庫帰属は、相続した後で「この土地だけ」を選んで手放せる制度で、期限はありません。その代わり、費用と厳しい要件があります。相続前なら放棄も選択肢、相続後は国庫帰属か売却か——立ち位置が違うのです。
向いているケース・向かないケース

向いている:買い手がまず現れない遠方の山林や原野など、「売る」市場が存在しない土地。20万円強を払ってでも、管理義務と固定資産税から解放される価値があるケースです。向かない:市街地やその周辺の宅地。つまり——明石・加古川エリアの宅地なら、たいてい向きません。なぜなら、売れる可能性が普通にあるからです。
申請の前に、一度だけ。「その土地、本当に売れませんか?」
ここが今日の結論です。国庫帰属は21万円以上を払って手放す道。もし査定して値段が付くなら、手残りはプラスとマイナスで真逆になります。訳あり物件を扱う当社の経験では、「売れないと思い込まれていた土地」に買い手や隣地の引き取り手が見つかるケースは珍しくありません。査定は無料です。手数料1万4,000円を納める前に、値段だけ確かめてみてください。それで本当に売れないなら、安心して国庫帰属に進めます。なお、申請の手続きを行えるのは土地所有者本人(または法定代理人)です。申請書類の作成支援は弁護士・司法書士・行政書士の業務ですので、必要な場合は専門家をご紹介します。
※当社では、農地単体および農業振興地域内の農用地区域を主な取扱対象としていません。宅地を含む不動産については、宅地部分の売却可能性を個別に確認します。
ご相談前に、あると話が早いもの
- 固定資産税の納税通知書(土地の情報確認に)
- 土地のおおまかな場所と現況(山林・田畑・宅地など、分かる範囲で)
- 建物の有無(あれば外観のお写真)
「国庫帰属を考えている」段階のご相談、歓迎します
制度を使うべきか、売るべきか。売却・国庫帰属それぞれの費用と所要期間を並べて比べれば、答えは自然に見えてきます。当社は売却の可能性と概算の手残りを整理します。国庫帰属制度そのものの手続きについては、法務局または専門家にご確認ください。
- 無料査定・売却のご相談フォーム(入力1分)
- お写真を送るだけのLINE相談もOK
- お電話:078-201-0007(9:30〜18:30/水曜定休)
ご相談・査定は無料です。売却を急かすようなことはいたしません。
よくあるご質問
Q. 空き家が建ったままですが、申請できますか?
A. できません。建物がある土地は却下されるため、先に解体して更地にする必要があります。解体費+負担金の合計と、建物ごと売却した場合の手残りを比べてから決めるのがおすすめです。
Q. 費用は全部でいくらかかりますか?
A. 審査手数料が土地一筆14,000円、承認された場合の負担金が原則20万円です。土地の種類や面積によって負担金が増える場合があります。
Q. どこに相談すればいいですか?
A. 制度自体の相談は、土地のある都道府県の法務局・地方法務局(本局)で受け付けています(事前予約制)。売却との比較は当社にご相談ください。
Q. 申請は自分でできますか?
A. 申請自体はご本人が行います。書類の作成支援を頼める専門家は弁護士・司法書士・行政書士です。
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「売るかどうか迷っている段階」でも大丈夫です。買取と仲介、どちらで進めた場合の金額も比べられます。他社で断られた物件のご相談も歓迎です。
